
毎年この時期が待ち遠しい。
冬のなかなか飛べない時期を越えて、
ようやくいつでもジャンプが出来るようになる。
そして、毎年夏のシーズンの始まりの時期には、
ジャンプの名門・明治大学と、僕らジャンプ初心者大学の選手が合同で合宿を行うイベントがある。
僕らが「明治合宿」と呼んでいるもので、
今年で14年目となるそう。
明治大学の選手と共に飛び、明治大学OBの方々がコーチしてくださるイベント。
特に今年は、明大OBの皆さまから様々な情報をいただいた。
ジャンプを飛ぶにあたって、
カナメとなる要素や、効果的な練習方法、最新のジャンプ技術や傾向など、本当に実際に役に立つ話をお聞きすることができた。
おかげで、それまで頭の中にあったジャンプの理論体系を、
より詳しく補完できたり、最新のものにアップデートできた。
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ジャンプ技術について、まず基本テキストはこれ。
●小野学資料集
「スキージャンプの技術と体力」(2009年)
http://kitano-ski.com/data
ここに書かれた内容は、
5年が経過した現在でも、変わらずに通用すると思う。
上記テキストをベースに、
アプローチ、テイクオフ、空中について、
加筆、補足しようと思う。
第1回の今回は、まずアプローチから。
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【アプローチでのポイント】
アプローチは、
ストレート、R1、Tと3局面に分けて考えることができる。
各局面での注意ポイントは、以下の通りだ。
■ストレートでのポイント
●アプローチ姿勢
背中は平らに保つ
-頭と腰を同じ高さ(=背中が水平になる)を基本とする
-腰(=骨盤付近)と、頭(=首付近)の丸みをとる
●注意点
①必ず骨盤を返す(腰付近の丸みをなくす)
これは、ワールドカップ選手でもやりがちなミスなのだそう。
腰(=骨盤付近)の丸みをとることで、
下半身のパワーがダイレクトに上半身に伝わるようになる。
腰の丸みがあると、下半身パワーが上手く上半身に伝わらず、効率を損ねる。
⇒自分自身にシッポがついていると思って、シッポを上に上げる感じで滑る。
ここは、小野さんのテキストにも記載がある。
しかし、トップ選手でもやりがちなミスということなので、
僕らはより一層丁寧に、骨盤の返しを確認して飛ぶ必要がある。
2013-2014シーズンの竹内択選手も、
好調時のインタビューでは、
「筋肉ではなく、骨で支えるアプローチが出来ている」
と話していた。
これは、腰、首付近ともに、丸みがなく組めていることを意味している。
(もちろん、加えて柔軟性やバランスも良く、トータルでベストなポジションをとれているのだと思う)
②頭を上げる(首付近の丸みをなくす)
アプローチ全体を通して、
顔はしっかり前を向いて、ずっと頭を起こしておくことが必要だ。
頭を上げておくと良い理由を、3つほど上げておく。
(1)足裏の重心を前に(正しくは、適正位置※に)出来る。
頭を下げると、前のめりになる、もぐる、つまる。
すなわち、頭の重心が下 or 前にいく=前回りモーメントがかかってしまう。
よって、頭が前に下がると、
身体全体のバランスをとるためには、無意識のうちに、足裏の重心が後ろにして相殺せざるを得なくなってしまう。
足裏重心が後ろ(=カカト寄り)になると、ヒザの戻りにつながり、踏切効率を損ねる。これは致命的なため、解消すべき。
(2)滑りのバランスをとりやすい
頭は身体の中でかなり重いので、
頭の位置は、身体を支える足裏重心の位置と近くにあると、バランスをとりやすい。
これはその通りだ。重いものは、重心の中心軸から近くにあったほうが安定する。(あとで図を追加したいところ)
(3)テイクオフのタイミング、方向のブレを抑えられる
首付近の丸み(頭の潜り込み)は、
踏切開始時、最初に首上げ動作から始まり、タイミング、方向性の点で踏切効率を損ねる。(小野さんテキストより)
つまり、頭を下げると、
バランスはとりにくいし、足裏重心は後ろにいくし、
動き出しでも頭が上がってからのテイクオフになるので、
方向もタイミングもブレて、パワーロスも多い。
よって、頭は上げて、しっかり前を向いているべきだ。
同様に、目線も、遠くにおく。
特にテイクオフ付近になると近くなりがちだが、
着地し終わるまで、決して足元やレールは見ない。
■R1でのポイント
Gは股関節で受ける。
上記<ストレート>でのポイントが実践出来ていれば、
股関節にGを感じられるはずだ。
・背中はまっすぐに、腰や首付近に丸みなし
・頭はしっかり前を向ける
・足裏で感じる重心を適正位置(母指球)に置く
股関節に受けたGは、テイクオフのときに必要になる。
タイミングのヒントにしたり、カンテへのインパクトを与えるために必要だ。
■Tでのポイント
R1通過後、カンテまでの間はTと呼ばれる。(これもあとで図を足したい)
このTは、テイクオフの準備動作に使うので、また次回。
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要は、アプローチポジションでは、
・腰(=骨盤付近)と、頭(=首付近)の丸みをとる
ことが大切だ。
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※重心の適正位置
足裏の母指球付近だ。
⇒この付近に重心があると、滑りながらバランスがとりやすく、またテイクオフでも立ち上がりやすいはず。
空気抵抗や斜面との摩擦がなければ、最適な重心位置は足裏の真ん中になるが、実際にはそれらを加味して、やや前(母指球あたり)になる。
僕らとしては、母指球を適正と断定して問題ない。
厳密には、アプローチ斜面との摩擦は様々な要素で変化する。
特に、夏/冬の違いは大きかった。
夏のチャイナレールと、冬の雪レール、アイストラックでは大きく摩擦係数は異なる。スキーのワクシングも全く異なる。さらに、ジャンプ台ごとの違い、気温、天候(雨、雪降り、雪質など)によっても違いが出る。
よって、飛ぶたびに、摩擦の大きさに合わせて、足裏での重心の置き場所を変えれるのが理想だ。
ただし、そんなことが出来るのは、
世界でもただ一人、Andreas Goldberger(AUT)くらいだと、1997年くらいの新聞記事で読んだ記憶がある。。
ことが大切だ。
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※重心の適正位置
足裏の母指球付近だ。
⇒この付近に重心があると、滑りながらバランスがとりやすく、またテイクオフでも立ち上がりやすいはず。
空気抵抗や斜面との摩擦がなければ、最適な重心位置は足裏の真ん中になるが、実際にはそれらを加味して、やや前(母指球あたり)になる。
僕らとしては、母指球を適正と断定して問題ない。
厳密には、アプローチ斜面との摩擦は様々な要素で変化する。
特に、夏/冬の違いは大きかった。
夏のチャイナレールと、冬の雪レール、アイストラックでは大きく摩擦係数は異なる。スキーのワクシングも全く異なる。さらに、ジャンプ台ごとの違い、気温、天候(雨、雪降り、雪質など)によっても違いが出る。
よって、飛ぶたびに、摩擦の大きさに合わせて、足裏での重心の置き場所を変えれるのが理想だ。
ただし、そんなことが出来るのは、
世界でもただ一人、Andreas Goldberger(AUT)くらいだと、1997年くらいの新聞記事で読んだ記憶がある。。