ジャンプ仲間向け記事第2弾!!
前回の①アプローチに引き続き、
今回は②テイクオフについて。
【テイクオフでのポイント】
テイクオフといいつつも、
実際には、前後の動作は連動している。
特に、アプローチの最後~テイクオフ動作~空中前半までは1つの動作と考えて良いくらいだ。
■T(
アプローチの最後)でのポイント
●パワー出力のための準備
・テイクオフに備えて、コア、たんでん(丹田)=おへそより少し下あたりに、力を加えはじめる。
テイクオフのパワー出力の源は、コア、たんでん(丹田)=おへそより少し下だ。
テイクオフの起点として、コアに力を入れることからスタートすると良いテイクオフになる。
Tではここに力を入れて、股関節から出力すると最もパワー、方向ともに効率が良い。
太ももの筋肉を使うと必ずヒザは戻る。
●タイミング
・Gををヒントに、顔の面は空中に向けたまま立ち上がる。
目で合わせると間に合わない。
「今だ」と思っても、脳から筋肉への伝達時間で遅れが生じる。伝達時間がmsec程度だとしても、ジャンプのタイミングとしては致命的になる。
⇒カンで合わせるしかない。このとき、Gはヒントとして使える。
足裏 & 股関節にかかるGをヒントに、カンで合わせる。
★初心者のタイミングが遅い理由
初心者はほぼ例外なくタイミングが遅いけれど、これは、目でカンテを見てタイミングをとっているからな気がした。はじめのうちは、どうしても足元を見てしまいがちだ。
Tを滑りながら、空中を見つめたままテイクオフ動作をするのはかなり特殊な感覚だ。
=足元を見ずに、まっすぐ前を向いたまま階段を駆け下りる感覚
=バスケットボールやサッカー等でのノールックパス(パス相手を見ないでパス)の感覚
に近いかもしれない。つまり、日常動作にはない感覚だ。
しかし、トップ選手は、目では遠くの景色を見ているだけだ。
ここは、日常感覚は捨て去るべきところ。
■テイクオフでのポイント
●長い踏切について
股関節でGを受けたまま動かなければ=重心を動かさなければ、長く踏める。
⇒重心軸をブレさせなければ、長い踏切が出来る。
<必要3要素>
①Tで、すぐ立てるポジションでいること
⇒腰の丸みなく、頭の下がりなく。
②足首でなく、太ももでもなく、股関節で立つ。(パワー)
③パワー出力の方向は、カンテに対して82°。前方への緩やかなモーメントを得る。
特に、③テイクオフの方向は、感覚としては、真上(90°)に立ち上がる感覚で良い。
実際には、踏切の方向はアプローチの摩擦を相殺する分だけ前方(82°)になる。しかし僅かであるので、感覚としては限りなくカンテと直角(90°)で良い 。
⇒しっかりと真上に立つ
カンテを真下に踏みつける。
上半身や背中、顔の向きを動かさないまま、股関節や足の力で、真上に立ち上がるイメージだ。
⇒前に流れない
テイクオフ後は前に動かなくて良い。
82°=直角よりも8°前なので、この方向に立ち上がれば、緩やかながら前方へのモーメント(回転運動)を得られるため、それ以上に自分で動かなくて良い。自分から前に倒れこむ必要はない。
もし前に動いてしまうと、飛行曲線を押し潰してしまい、高さを失う。本来はまっすぐ前方向に描かれるべき飛行曲線が、下に向かってしまい、いわゆる「刺さる」ジャンプになってしまう。
●間違いやすいポイント
テイクオフの方向を語る際に必ず出てくる議論が、上半身を起こすか起こさないか=高く出るか、低く出るかだけど、ここと前述の82°は別物だ。
あくまで、上半身を起こす角度ではなく、パワー出力の方向が82°ということだ。
すなわち、テイクオフのインパクトの瞬間に、
・腰とカカトを結ぶラインが、カンテと82°になることだ。
・上半身を起こす角度=腰と頭を結ぶラインのことでは決してない。
(あとで図を足したい)
ソチオリンピックラージヒル個人金・Kamil Stoch、銀・葛西紀明は、どちらも上半身は起こさずに低い飛行曲線で飛んでいくタイプだ。しかし、インパクトの方向は共通して、ほぼ82°。
トップ選手でこの82°が崩れるのは、狙いが前すぎるときだ。
テイクオフで前に流れる失敗ジャンプの時は、例えば80°であったり、78°だったりする。
つまり、**度、というときは、「前か後ろか」の話だ。
上半身を起こして上を狙う、起こさずに低く下を狙う、というような、「上か下か」の話ではないのだ。間違っても上半身を82°になど起こしてはいけない。
■空中について
●空中前半のポイント
空中前半=LHで前半20mくらいまでの範囲のこと。
この区間ではジャンパーの身体は上昇している。ジャンプは基本は落下運動だが、この区間はテイクオフパワーにより上昇している。
ここでも大切なことも、テイクオフと同じた。(連動しているので、同じになる)
・動かない=前に倒れない。前に流れない。
⇒動くと、上昇力を叩いて潰してしまう。
⇒テイクオフの方向性が出ていれば、前傾は自然とかかる。前方へのゆるやかなモーメントに乗って行けば良く、自分では動かない。
■空中後半のポイント
・動かないだけ。
・手のひらは身体から、手のひら1つ分離した位置に置く
手のひらは、身体から手のひら1つ分離れたところが最も風が強いため、その位置に手のひらを置くと、最も風をつかまえられる。(ちょうどレジェンド葛西の位置)
よく見ると、Kamil Sochもこの位置に手のひらを置いている。
<参考>
テイクオフの82°方向について。
この82°は、今現在この角度に加圧している選手が、結果として最も飛距離を伸ばしているという数値だ。これは現在のルールの元での数字だ。すなわち、スキーの長さやスーツの暑さにによって最適角度は変化すると思われる。
例えば、現在の+2cmのスーツから+4cmにルール変更されたとすると、空中の浮力が増すため、相対的にテイクオフのウェイトが下がる。よって、空中での浮力を活かすよう、より前方向(80°など)が最適になるかもしれない。
また、フライングや向かい風のときも、空中のウェイトが高いため、前めで良いかもしれない。
逆に、小さな台や追い風では、より垂直に近い方向に立つべきと思われる。
いずれにしろ、その範囲は数度以内と思われるので、普段自分がジャンプをする際のイメージは、82°、もしくはもっと大雑把に、真上に立つ、という感覚で良い。