夏のジャンプが終わってしまった。
今の心境としては、まだ飛びたいなー飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい、って感じ。
今日は最後なので、単純に楽しもうと思ってた。
なので、高いゲートでお祭り騒ぎをしてみた。基本的に僕はオーバースピードが好きなのだけど、今日はさらに飛ばしてみた。
K点を絶対に下回らないように、いつもより数段高いゲートでK点越え連発。・・・すごくたのしい。笑
●K点ジャンプで空中感覚をつくる
こうして高いゲートからK点越え連発する作戦は、単純に楽しいだけでなく、実は合理的な練習方法だったりもする。
K点ジャンプを繰り返すと、良い空中感覚が身体に蓄積されて、刻まれると思う。
実は、ゲートを上げても、空中フォームがだめならあまり伸びない。速いスピードは、テイクオフの推進力不足を補ってはくれるけど、空中の飛行効率までは助けてくれないからだ。
よって、空中フォームだけは、しっかりつくらないとなかなかK点には達しないと思う。一方で、K点まで飛ぶときは、ほぼ自己ベストに近い、理想的な空中フォームが出来ていると思う。
僕がいつも女子より高いゲートで飛びたがるのには、単純に遠くまで飛びたいのに加えて、上記のような、良い空中感覚を身体に定着させたり、理想の空中フォームを固めたいといった理由があるからだ。
白馬などに行くと、ノーマルヒルK90でわざわざ低いゲートから出て、70mにも届かずに着地している選手をよく見かける。でも、それだと苦しいんじゃないかと思ってしまう。
低空飛行だと、十分な前傾や飛行姿勢をとれないままの着地になったりするので、空中感覚が苦しいものになる。すると、その苦しさや、それを打開しようとする気持ちが力みにつながり、だんだんテクニックも狂ってくる。しかも飛距離が出ないので楽しくもない。
やっぱりジャンプトレーニングの原則は、オーバースピードで小さなミスは帳消しにして、伸び伸び飛ぶことだと思う。空中や滞空時間の余裕は、テイクオフをリラックスさせてくれたり、ジャンプ全体を柔らかくしてくれる。
●盛り上がった
今回は、一緒に練習していた大学生チームも、みんな良い感じに見えた。自己ベストを更新する選手が多くて、初めてのK点越えを達成した選手が3人もいた。この夏の最後の最後で、自分たち自身で喜べるジャンプが出来たのは良かったと思う。
<K点越え、簡単じゃない>
実は、小さなミディアムヒルであっても、K点まで飛ぶのは、なかなかハードルが高かったりする。
一緒にやりながら見ている感覚としては、大学から始めた選手で、たとえトップゲートからだとしても、大学4年間のうちにミディアムヒルでK点に到達出来るのは、10人に1人程度だと思う。
だから、K点越えは簡単じゃないし、そこまで達するのはすごいと思う。
ちなみにだけど、ノーマルヒルだとまた話が変わる。ミディアムK点越えの実力でノーマルヒルに移ったとしても、K90のはるか手前、、70m程度しか飛べなかったりする。
そして、さらにこの世界にはラージヒルというものがあって、ここではノーマルヒルでK点まで飛べる選手でも、かなり高いゲートから出たとしても、K120で100mもいかなかったりする。。
このように、ジャンプ台が大きくなるごとに、リセットがかかる感じだ。毎回、それまでのジャンプ台でK点を越えていても、次のカテゴリの台に移ると、P点にも届かない。また、ここから始めようかと、リスタートすることになる。
●自分自身の課題
<飛行姿勢を最後まで>
今日伸び伸び飛んでみて思ったのは、これからはもっとK点越えフライトに慣れたいなということだ。
K60の飯山のミディアムヒルだったけど、空中で65mに達する飛行曲線を感じて、途中でやめてしまうジャンプが多過ぎた。もったいないし、そもそも気合い足りてない。
だから最後まで飛行を続けることをチャレンジしたい。で、チャレンジしたいことがあると、飛びたくなる。だから今もっと飛びたい。
K点越えでも安定していつでもテレマークを入れられるようになりたい。
<長く踏む>
また、テイクオフでも試したい感覚がある。
長く踏む、という感覚をつかみかけている気がする。Gを上手く使う方法が分かりかけている気がする。
今はまだ、どうしても足裏で重心をとらえきれず、アプローチのカーブ通過あたりで重心位置が前後にぐらぐらブレてしまったりしている。
もし、ここで上手く重心位置を一定にしていられれば、その場所をずっと踏み続けることが出来ているわけなので、長い時間ずっと加圧を続けることが出来て、長い踏み切りとなる。
そしてこのあたりは、きっとアルペンも含めた、スキー技術そのものが発揮されるところなんだと思う。スキー経験のある選手がジャンプも上手くなることが多いのは、重心位置を変えずにアプローチを滑れるので、長い加圧を自然と出来るからだと思う。
僕自身はスキー自体が決して上手ではないので、ここが克服出来るかどうかで、将来的に到達出来るレベルが大きく変わると思う。
それでも、今日は多少タイミングを外しても、それなりに飛んでいけた。
スーーーッと低く伸びていく、自分らしいジャンプが何本かは出来たと思う。
タイミングを外しても飛べるのは、タイミングの許容範囲が広がってきているということであり、加圧している時間(or区間)が長くなってきていることの裏付けかなと思った。あと空中の飛行効率の良さ。
こんな感じで、今はいろいろ試したいテクニックがあるので飛びたいけど、次のチャンスは年末の北海道。
それまでに、身体のバネやバランス、体重もちゃんとメンテナンスして、動く身体で北海道入りしたいと思います。
たのしみ!
●写真:雨上がり。ジャンプ台から見えた虹!
2015年の夏を終えて。
あれこれ試行錯誤をしたシーズンだったと思うので、ここでその振り返りをしてみました。
●振り返りその1(食事)
前半4月~7月いっぱいころまでは、かなりストイックにしてた。
まず減量した。
<トップ選手のBMI>
僕は一般的には細い方かもしれないけれど、ワールドカップでポイントを取る選手たちのBMIと比べると重すぎる。
僕の身長168cmだと55kg程度が望ましいけど、当時はだいたい56kg~57kgくらい。暴飲暴食して重い時は58kg近くあったと思う。よって、3kg程度絞ろうと思っていた。
なお、トップ選手は筋肉があってのその体重であり、自分とは身体に占める筋肉比率が違うので、単純に体重だけ並べても彼らと同じくなれるわけではない。
それでも、体重だけでも同じくしようと思ってた。
もちろんBMIルールにはひっかかるので、スキーを短くする必要が出てくるけど、それでもいいと。やってみようと思った。
身体が一番動く体重まで絞ろうと思っていた。
<食事>
そのために、食事やカロリーなど、かなり調べたと思う。いろんな栄養成分にも詳しくなった。
しかし、ダイエットの食事法などは世間一般において永遠のテーマであり、無数の方法論が語られていてキリがない。
よって、自分としては割りきって、人間の脂肪分は、ほぼ炭水化物から出来ていると理解して、
シンプルに、(1)炭水化物 と (2)脂質
この2つを極力カットすれば良いと決めた。
具体的には、炭水化物は1日が最低必要量が100g程度らしいので、その程度に抑えることにした。
ちなみに、日本人平均の炭水化物摂取量は1日あたり200g~300g程度とのこと。ご飯一杯(150g)で60g程度含まれる。
こうなると、食材の栄養成分が気になるようになる。スーパーなどで食材を手にとると、真っ先に栄養成分表示を見るようになっていた。
おいしそう、ではなくて、炭水化物量と脂質量はどのくらいか?が気になる感じだ。
そして、菓子パンを見て炭水化物40gと書いてあるとゾッとしたりした。こんなもの恐ろしくてとても食べられない!という感覚だった。
炭水化物カット作戦の一例としては、パスタの麺のかわりに半分くらいもやしを混ぜてみたり、もっと攻めて、もやしだけにしたりもした。豆腐やこんにゃくも炭水化物がほぼゼロだとも分かった。
また、鳥のササミは炭水化物も脂質もほとんどなく、かつお腹にもたまってベストだと思ったりした。
コーヒーもわりと空腹感を消すのに使えると思ったり、夜はあまり食べないようにしてみたり。
で、一度は55kg近くになったけれど、結局は、なかなかつらかった。笑
やっぱ食べないのは続かないと気付いた。これが出来るのは葛西紀明選手くらいだと思った。笑
だから、過剰すぎない範囲なら食べてもいいから、その分とにかく運動しようと思うようになった。
結局、取り組み前よりも1kg減くらいで落ち着いてるけど、実際に試してみて初めて感じた感覚も多かったので、やってみて良かったと思った。
●振り返りその2(陸上トレーニング)
今年は陸上トレーニングも作戦を立ててやってみた。
ジャンプ台にいるのは、たとえ毎週欠かさずに通ったところで1週間のうち2日。実際にはせいぜい隔週だったりするので、ジャンプ台にいないときの方が圧倒的に長い。
だから、ジャンプ台にいないときのトレーニングが大切なのは言うまでもない。
今年は特に、バランスと柔軟性を高めようとしてみた。
バランスの重要性は、昨年横川ヘッドコーチからも直々に教えてもらった通り、助走路の滑り、テイクオフ、空中の安定など、ジャンプ競技には必須な要素の1つだ。
トレーニングメニューとしては、近くの公園でスラックラインに近いことをやってみたり、片足立ちで様々な上下・左右・回転などをセットにして、朝や帰宅後にこなしてた。
また、柔軟性も重視した。
特にアプローチへの効果が大きい。
これまでは関節が硬くて物理的にベストポジションをとれない状態が続いていた。
アプローチで何とか骨盤を立てようとして、グッと力を入れて強引に形をつくらざるを得ない状況になっていて、身体の硬さが力みにもつながっていた。
今は、筋肉を伸ばして身体をほぐせるようなジムにも通ってみてる。これは肩こりもほぐせて良い感じ。
柔軟性が上がって、アプローチで簡単に良いポジションをとれるようになったことで、滑りの向上やリラックスにつながったり、身体のバネも良くなったことで、さらにしなやかな動きが出来るようになった。
ジャンプへの反映もあったと思う。
今年はジャンプを飛んだ本数は昨年の半分以下だったけれど、空中が長いラージヒルでも、安定飛行でK点まで飛ぶことが出来たのは、このトレーニングのおかげかなと思ってる。
●振り返り(まとめ)
<気合が入ってたシーズン>
実は、今シーズンは、ある程度の覚悟を持って臨んでいたと思う。(過去記事)
さすがの僕も、ジャンプをいつまで出来るか分からない、だから今やらないと、と思っていて、そう思うと身体も動いた。
Runningアプリの記録をみると、5月はほぼ毎日(31日中25日以上)走ったり陸トレをしていたようで、7月いっぱいまでは食事制限も含めて、ほぼ同様に過ごせていた。
実際、7月までは身体もジャンプも調子が良かった。
身体が軽くて、1mハードルも余裕で飛び越えていた。自己ベストの飛距離を更新し続けたのもこの時期だ。
<8月以降のつまずき>
ただ、8月以降は、仕事のピークがやってきて、そうした過ごし方が出来なくなって、一気に崩れてしまったと思う。
朝7時出社で帰宅は23時過ぎだったりして、陸トレも出来ず、食事も不規則になりがちで、頼みの綱のノー残業デーもあったりなかったりになり。ジムにもなかなか行けなかった。
それまで出来ていたことが全然出来なくなり、ストレスになっていたと思う。
今シーズンはしっかりやり遂げたいのに、全然身体を動かせないという苛立ちだ。
8月以降は体調も優れず身体も重く、名寄の大会のときには余裕で飛べた1mハードルも飛べる気がしなかった。実際何回飛んでも一度も越えられず、全部倒してしまった。身体も硬かった。
そんな状態で迎えた妙高や塩沢の大会では、全くジャンプにならなかった。
この夏後半に参加した大会は、記録だけ見ると、去年や一昨年より悪いくらい。
<反省点>
ただ、反省点もある。自滅した部分もあったと思うからだ。
今シーズンは、人生で初めてきっちりとトレーニングをしてみたシーズンだったと思う。
そして、しっかりトレーニングをしていた分だけ、自分の気持ちとして、少しでもベストじゃない状態だと満足できなくなってたと思う。
楽天的な自分にしては、ストイックになり過ぎてたのかもしれない。
ビデオを見るとそこまで動きは悪くないのに、満足感を全然感じられなくなっていた。
いつもだったらまあまあいいじゃんとするところなのに、だめだだめだって感じでストレスがたまって、余裕がなくて、結果としてテクニックを狂わせてしまっていたと思う。
心技体のうち、技と体は元々ないけど、心まで狂っていたかもしれない。
トレーニングを重ねた結果、自分の基準値への要求が高くなったことで、そこに達しない苛立ちから、いつもは安定してたと思ってた心まで、狂っていたと思う。
名寄くらいから嫌になってたかな。それに仕事のピークも重なり、トレーニング計画もめちゃくちゃになり、身体も重くて鈍ってた。
試合でも散々なジャンプを繰り返してばかり。
そのときには、ジャンプ自体もそんなに飛びたいと思わなくなっていたかもしれない。
<ゆるく>
だから、60%でいいと思った。
腹8分目より、6分目でいいや。
必要以上の負荷はかけないことが大切だと思った。
完璧とか、高すぎる精度を求めると、少しでも崩れるとイヤになる気がした。
僕はワールドカップを狙うような状況ではないので、多少何かが足りなくてもいい、6割程度出来ていれば十分だという感覚が大切だと思った。
余裕があることが、少しくらい上手くいかなくても安定した心理状態を保てる秘訣だし、長期的・継続的に安定した力を出す秘訣だと思った。
会社員ジャンパーとしては、日常生活の中で使える時間はさほど多くはないけれど、トレーニングのフルメニューが出来なかったとしてもOKで、1日30分走るだけでも十分だと思った。
●実は来週も
そして、これだけ長々と振り返りつつ、来週まで飯山がオープンしていることがわかったので、日帰りだけど、飛んできます。
大好きな高いゲートでK点越え連発して、最後にエンターテインメントを大満喫してこようと思います。
楽しみ!
●第23回飯山市サマージャンプ大会
そして、本日11/8(日)は、飯山でこの夏の最終戦でした。
<リザルト>
http://www.city.iiyama.nagano.jp/assets/files/sposhou/sports/result/15summer_jump/ippan.pdf
内容は、だいぶ力んでるなーという感じ。
ただ大失敗でもない。
はっきり言ってかなり欲求不満ではある。
来年は入賞狙えるかなと思って、ゆるく改良していこうと思います。
【YouTube】Yusuke Kitazawa 20151108@第23回飯山市サマージャンプ大会 K60
●写真:飯山の大会。スタートゲートに座る。父親撮影。
●復帰
実は9月にケガをしていて、
10月後半に妙高、11/3に飯山で久々に飛んできました。
リハビリジャンプ初日は、生きて帰るのだけが目標だった。
しかし内容は上出来。
ちゃんとK点も越えたし、
修正しようと思った内容をその通りに出来てきた。
●ようやく飛ぶ気になった
塩沢、妙高の試合を転戦しても、全く調子が上がらず。
8月の白馬ラージヒルでK点120mまで飛び、5年越しの目標も達成してしまったし。
これまでのジャンプ人生で、モチベーションは最も下がっていたかもしれない。
ケガをした肩も思ったより治りが遅かったし、8月以降は仕事もピークに近く、ほとんど身体を動かせなかった。
ベストジャンプなんて出来る身体状態じゃなかった。
ストレッチも体幹も不足して、体重もいつもより重い。
ベストジャンプは物理的に不可能だった。
もともとは、飯山での大会まで飛ばないでいようと思ってたくらい。
でも、ふと飛びたくなったので、飛ぶことにした。
肩も完治まではしていないけど、
ジャンプでは直接は使わない部分なので問題にしなかった。
●新しいジャンプ
復帰にあたり、飛び方を変えてみることにした。
これまでは、致命的に悪いクセを抱えてた。
悪いクセ
=アプローチやテイクオフで目線が近すぎて、頭が下がる(もぐる)。
そうなると、テイクオフではヒザが抜けてインパクトは当たらない。腰も後ろに残り、スピードも得られない状態になる。
お辞儀や体前屈をするときがまさにそうで、頭が下がると、連動して腰は後ろにいく。
よって、頭を下げることは、ジャンプ競技におけるテイクオフでは、最も好ましくない動きの1つだろう。
これはずっと自覚しているクセだったけど、なかなか直らなかった。
その理由には、自分のジャンプの好みとして、低い飛び出しや、鋭い飛行曲線のジャンプが大好きだったことがあると思う。
低く飛び出そうとするから、目線や頭の位置が低くなっていたと思う。
ただ、頭の位置が低すぎると危険だ。
ラージヒルでそれをやると、前回りモーメントが強すぎて前転するんじゃないかと思う。
これからは、ギリギリで余裕がない低さで攻めるより、ある程度余裕をもったフライトをとろうと思った。
よって、特徴だった低い飛行曲線は、やや高くなるかもしれない。
けど、安定感が上がったり、多少の追い風でも飛んでいけるようになると思う。
まだまだ定着はしきれていなくて、最初は良くても疲れてくると目線が下がってくる。
今週末は飯山で夏の最後の大会だけど、そこでは修正した新しいジャンプを2本そろえたい。
【YouTube】Yusuke Kitazawa 20151103@飯山 K60
●妙高:たまたま照明を試験点灯してた。きれいと思った。
●飯山:リフトに乗る