2016年8月26日金曜日

2016夏 蔵王ジャンプ合宿

楽しみにしてた蔵王温泉ノーマルヒル。

この6月にサマーオープンしたばかり。

お盆休みに、いつもの会社員チームで行ってきました。

東京から蔵王まで、多少の渋滞もあり、約6時間のドライブ。

実際に到着してみると、新しいジャンプ台はやっぱり綺麗でした。


●新しいクラレ蔵王シャンツェ。

今、こうして合宿を終えて思うのは、、
蔵王、素晴らしい。

ジャンプ台も温泉も食事も良かった。


●新型ノーマルヒル
助走も着陸斜面も緩やかというのはわりと有名な話で、詳しくはいろいろな紹介サイト参照。

実際に現物を見てみても、横に長いというか、視覚でもはっきりわかる緩やかさ。


●緩やかアプローチ

スロープカーで登りながら見ても着陸斜面は緩やかだし、スタート台からもアプローチがすごく緩やかなのが見て分かった。

アプローチのレールも溝が深くて、初めて見る形。白馬も改修中だけど、メーカーが違うみたい。


●新レール。滑りも軽くて良い感じ。

ランディングバーンも剥がれにくい。

他の台だと転倒するとソーメンが外れてしまうことが多い。

こうなると修復は一苦労で、ブレーキングトラックから外れた地点まで、急斜面を何十メートルも登らないといけない。

さらに、外れたソーメンはパチッとはめ直せばOKなものの、散水されて滑る急斜面にへばりついての作業なので、わりと大変。何箇所も剥がれていると、残りは仲間に任せて途中で離脱したくなるレベルで足も疲れる。笑

その点で蔵王は優れていて、ソーメンを斜面に縫い付けてあるので、構造的にほぼ外れない仕組みになっている。

修復作業が不要になるし、修復による練習の中断もない。ここは良いポイント。

また、着地後のブレーキングトラックも特徴があって、すごい上り坂。

ジャンプ週間のインスブルックみたいで新鮮だった。宮の森も軽く上ってるけど、蔵王はもっと急で短い。

しかし、この上り坂は散水の状況によって、滑ったり詰まったりが劇的に変わるので、警戒が必要と思った。


●飛んでみて
<空中が楽しい>
特に意識が戻ってからの、後半のフライトが楽しい。

低いところから、そのまま斜面と水平飛行しながら伸びていく感じで、大好きな飛行曲線。


●空中ヘルメットカメラより

低空を飛ぶせいか、まるでミディアムヒルみたいな感覚。

そのせいか、さほど飛距離が出た気がしないかもしれない。例えば、同じ85mで着地しても、他のノーマルヒルと比べて、あまり飛んだ気にならないかも。

それでも、低いままグイグイ伸びていく空中は、個人的にはすごく楽しい。

<助走も良し>
助走スピードは、ジャンプ台のプロフィール的に、ラージヒル並に出る設計になっている(87km/h~90km/h)。

さらに、新しいアプローチで抜けが良いので爽快感もある。

この”抜けが良い”ってなかなか伝わりにくいと思うけど、これは飛び出し直前=アプローチの最後部分で、滑りにブレーキが少ない感じのこと。

カンテ付近では、それまで急だった傾斜がほぼ平らになるので、夏の古いレールや、冬で雪が積もったり、気温が上がって雪溶け水が浮いたようなアプローチだと、摩擦抵抗が大きいので、多少のブレーキというか、それに近い感覚がある。これを抜けが悪いと表現することが多い。

でも、蔵王では滑りが良くて、飛び出す直前のほぼ平らな部分でも、最後まで加速していける感じだ。

抜けが良くて爽快。滑っているときの滑走音も、他の台とは違う。

また、アプローチ全体が緩やかなせいか、体感ではそこまでスピードが出てるように感じないと思うので、間もなくラージヒルを飛びたい選手の練習には良いのかも。

つまりは、空中感覚は低空で長いミディアムヒルみたいだけど、スピードはラージヒル並という面白い台。


●難しい台なのだろうか
事前情報として、蔵王は難易度が高い、というのがありました。

すなわち、緩くて長いアプローチなので、カーブ通過のときのGが特徴的に少ないので、Gを使って助走姿勢のハマりを探したり、テイクオフをする選手には違和感があると。

確かに、トップクラスのミクロな感覚を持つ選手だとそうなのかなと思いつつ、正直なところ、僕の感覚ではさほど違和感は感じなかった。

Gが他より少ないと言っても、もともと全ての台で強さは違う。

台ごとにRのきつさが違うので、Gが似た台はあっても同じ台は2つとない。

そして、蔵王もGが少ないだけでゼロではない。

印象としては、普通に飛びやすくて、実際好調だった。

ビデオで見ても、腰の高さなど、アプローチのポジションは合格点だったと思う。

ただ、選手によってはカーブ通過後にいつもよりだいぶ腰を落とされていたので、Gが少ないぶん、乗り遅れていることに気付きにくいという難しさはあるかもしれない。


●テイクオフの課題に取り組む
<頭を固定する>
以前のエントリの通り、テイクオフで頭を固定することをテーマに練習してきました。

上目遣いで目線を固定したまま、目線を切らない。

頭の固定がたまに上手くいくと、飛び出しで素直に進んでいけるのがわかった。

下半身からの持ち上げを、頭の低さでつぶさない感じ。

<ポイントはやはりアプローチ>
それにしても、やはりポイントは前段のアプローチで、無理なポジションから立つときは手を多く使ってしまうし、そのときは一緒に頭も動いてしまう。

パーフェクトな滑りは永遠のテーマですが、自分の身体の構造だとここをおさえればいつも安定する、など、自分のポイントは必ずあるはず。

スタートで背中のラインを斜面と平行にする、顔をしっかり前に向けると重心が前で乗れる、などなど。

しかし、いつもポイントが見つかったと思っても、また程なく崩れてしまう。笑

それでも、さらに新しくハマるポイントを見つけて、今度こそ最終形じゃないかなと淡い期待を持った矢先に、プロのコーチからアドバイスをもらうとまたまた改善点が見つかる。。笑

なかなか1つのベストは見つからなくても、試行錯誤によって、アベレージの完成度は上げていけるはずなので、ここは引き続き模索していきます。


●K点越えたい
今回の蔵王にも、K点越えを目標にしてやってきました。

次は当分来れないし、とりあえず越えとこうと思って。

結果、無事に達成。

胸熱。

ちょうどヘルメットカメラでも撮影出来ました。

今回のジャンプ記録映像をUPします。いろんな角度から撮りました。

【YouTube】20160813_0816 Yusuke Kitazawa - 蔵王HS106


●温泉と食事
宿も素晴らしかった。

●山形県/蔵王温泉 民宿組合
http://www.zao-minsyuku.com
今回は、ここの中から、「どさん娘 蔵王のいえ」にお世話になった。

食事が良くて、部屋も広めに使わせてくれて良心的で、料金もリーズナブルで。

3泊したけど、
夕食はジンギスカン、鍋、しゃぶしゃぶ
毎日違うのを出してくれて、どれも美味しかった。

さらに場所も良くて。
ジャンプ台に近いのはもちろんのこと、ファミマがすぐ近くにあるので、飲み物とかちょっとした買い物をしたいときに便利だった。

そして温泉も良し。
程良い硫黄の香りがあって、ほんのり白いお湯。

また、一度、友人経由の縁があって、「わかまつや」に日帰り入浴したけど、ここはお湯も施設の広さ、綺麗さも素晴らしい。大学生のときにしてたゴージャス旅行を思い出した。

蔵王、良いところ。

毎年お盆は、蔵王合宿を恒例にしたいな。

今回は東北大チームも一部一緒に練習出来て賑やかで良かった。また来年も合流したいな。


●みんなで。東北大チームも一緒に。


●イチローのモノマネ。最近はまってる。。笑

2016年8月18日木曜日

2016夏の札幌②2連戦

2016夏の札幌の、大会期間の思い出です。

8/4(木) AM大倉山公式練習
8/5(金) AM宮の森公式練習
8/6(土) AM宮の森大会
8/7(日) AM大倉山大会

<リザルト>第34回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会
<リザルト>第17回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会


●全体の26位(宮の森公式練習)
大会期間のハイライトはここかなと。

宮の森公式練習で、全体の26位、つまり本番だったら2本目に進めたかもしれないジャンプがありました。

風も良かったし、テクニックも良かった。

良いと言っても、もちろんタイミングは多少遅れてるし、課題の頭のグラつきも残っているけど、この時点で出来る範囲では十分合格点のジャンプでした。

これまでだったら、風が吹いてもだめだったと思うし、大会期間中にお通夜にならずに済んだのは新しい経験でした。



●練習とはいえ、人生初めての30番以内。励みになる。


●宮の森本番
狙い過ぎて失敗しました。。

トライアルで50cm遅れ。本番で1m遅れ。

アプローチは上手く乗れてたけど、そのぶんテイクオフでGの圧力を使おうとしすぎて、タイミングを完全に踏み外し。

踏み切る前にレールが終わって、ガゴンと下がったのが分かりました。

1mくらいの遅れ。
ここまで遅れてしまうと、たとえトップ選手でも飛んでいかない。

この失敗は悔しかった。
前日の感覚からすると、タイミングが合えば2本目いけるかもしれなかったから。

しかし、悔しさを感じられたのは、好調だった証拠。もしかしたらいけたかも、と期待できるレベルまでこれている証拠で、これは新しい感覚だった。

大会期間は一人お通夜とは思わなくていい日が、もしかしたら来るかもしれない。


●大倉山
本番は、不安定な風や気温の高さから、試技キャンセル。

これは衝撃。1本しか飛べなくなりました。

特に試技は本番よりも高いゲートから飛べるので、ぜひ飛びたかった。

本番は(ゲートファクターが採用されない国内戦では)途中でゲートを下げられないので、最初から低いゲート設定になりますが、試技は途中でゲート変更出来るので、高めのゲートから始まります。

つまり本番は、ワールドカップクラスの葛西選手、竹内選手、伊東選手が、向かい風でHSに達することを想定した設定なので、僕に追い風が吹くと完全にノーチャンス。

本番は15番ゲートの86km/h台で飛び出して、かつ上空のエアポケットであっという間に高度を失ってしまいました。もはや空中で気力をなくしたレベル。まさかここまで高度がないとは。

それでも、ジャンプは良かった。
宮の森の修正点だったタイミングはピッタリ合わせることが出来たので、やるべきことは出来たかなと思けれど、、上空の気流はテイクオフで突き抜けられるようになりたい。


●その他
<大倉山の動作解析システム>
以前に故・小野学さんが構築して、北野建設のHPからリンクされていたシステムだけど、その時のまま、大倉山で稼働しています。

2008年頃は宮の森も大倉山もどちらも稼働していたけど、今は大倉山でしか見かけないかな。

テイクオフ、フライトのどちらも確認出来る。飛び終わってすぐに見られるので便利。


●テイクオフのパノラマ


●空中の様子


<朝のウォーミングアップ>
ストレッチは朝起きたあとに宿舎である程度やってくるけれど、宮の森はブレーキングトラックの片隅にストレッチ出来る場所があるので好き。思う存分に身体を伸ばせる。

特にハムストリングスとかの脚まわりは、ストレッチを十分に出来ると脚が軽くなる。

また、宮の森には、クルマを停めるあたりに丈夫な柵があるので、その上で綱渡りみたいにして、バランスの確認も出来る。試技と1本目の間とか、細かな時間でもちょくちょくバランス出来るから重宝する。

大倉山でも控室のトレーニングルームにスラックラインがあるので、これも使える。


●宮の森の片隅でストレッチ


<ひとりだと。。笑>
公式練習になってからは1日3本のみ。

午後は一気に時間が空くかと思いつつ、部屋に戻るとなぜかぐったりで、謎の倦怠感があって。眠気と、お腹がすいたようなすかないような。あまり出かける気にもならず。

それでもと思ってラーメンやスープカレー食べに出かけてみたりもしたけれど、さほど心躍らず。

やっぱり一人だとつまんなかったな。。笑

大会後に、たまたま街ナカで、アメリカから来てた子と仲良くなって一緒にコーヒー飲んだけど、オフの時間で楽しかったのってこのくらい。

英語で話したの久々だったし、話題って国籍問わずに共通だなと感じられて、その点は新しい発見で楽しかった。

その他は、ずっと一人でストレッチするかコーヒー飲んでただけだったな。

いつも会社員や大学生仲間がいたので盛り上がって、お祭り気分で楽しかったんだけれど。来年は誰か誘ってこようと思いました。


●素晴らしい写真たち
飛び続けるにあたって、たとえば札幌に行くのも、写真撮ってもらえるから行きたいって思う部分も大きい。

来年はさらに綺麗に飛びたいと思えるし、自分のジャンプ人生のこれ以上ない記録にもなる。いつもありがとうございます。


●ノーマルヒルでのジャンプ。すごいお気に入り。佐藤さんより


●ラージヒルでのジャンプ。あきこさんより


●ラージヒルでのジャンプ。空中であまりの低さに自分でもびっくり。来年はもっと高く飛んでいたい。佐藤さんより

2016夏の札幌①フリートレーニング

この夏も札幌に行ってきました。

夏の札幌の大会はここ3年ほど続けて出ていて、今回も出てきました。

8/2(火) AM宮の森、PM宮の森、ナイター大倉山
8/3(水) AM大倉山、PM宮の森、ナイター大倉山
8/4(木) AM大倉山公式練習
8/5(金) AM宮の森公式練習
8/6(土) AM宮の森大会
8/7(日) AM大倉山大会

まずはフリートレーニングの思い出から。

●フリートレーニング好き
札幌でいつも思うのは、高めのゲートで飛びたいということ。

実は大会期間中はゲートが低すぎてジャンプにならなくなってしまい、僕にとってはお通夜期間だったりする。

だから夏休みを早めの日程にあてて、公式練習が始まる前の、フリートレーニングの時期から札幌入りしました。

月曜は名寄翌日なので、おそらく飛ばないだろうと踏んで、火曜入りがベストかなと思って、そうしてみました。


●アドバイス(顔の面を固定する)
FITチームで練習する中で、船木さんに自分のシミュレーションを見ていただき、アドバイスもいただきました。

未だに、シミュレーション(=テイクオフ)の動き始めのときに、まず顔の向きを上に変えて、顔で引っ張り上げる動きになっていると。

つまり、1)顔の引っ張り上げ、2)足の伸びの2段階動作になってしまっていると。上体始動ともいえる。

これは確かにそうで、昔からの悪いクセ。
理想は、顔の面を変えずに、足だけで一発で立ち上がりたい。

実際、船木さんはじめ、チーム船木のどの選手のシミュレーション、テイクオフを見ても、顔の面が全く変わらない。そのまま飛び出していく。

そして船木さんのシミュレーションを見ていて思うけど、いつも魔法みたいな感じがする。

今までアプローチを組んでいたのに、気付くと遠くにいる。

アプローチを組む姿を見ていても、テイクオフでふと見失ってしまい、気付くとずっと先で飛行姿勢に入っている。目で追いかけられないはずがないのに、一瞬見失ってしまう。

魔法というか、すごく不思議な感じ。

とにかくスッと、スムーズに進んでいく。ムダな抵抗がない感じがする。

国体予選のときに毛利さんのシミュレーションを見たけど、そのときも同じ印象だった。

きっと、頭を固定して動かさないことが、前に進んでいける秘訣なんだと思う。

それもそのはず。
頭は身体のパーツの中ですごく重たいので、重たいものが先端でグラグラしてたら前に進んでいくはずがない。

では、どうしたらその動きが出来るのか。

これについても、きっと体験した人でしか語れないであろう、具体的なアドバイスをもらった。

<上目遣いにする>
アプローチでは、ジャンプ選手全員が多かれ少なかれ上目遣いにしていると思うけど、その本当の理由は知らなかった。

上目遣いにする理由は、目線が固定出来るから。

目が真ん中だと、上下に動いちゃう。
上目遣いだと、それ以上いかないから、固定出来る。

動かさない分、まっすぐ前に進める。

安定して飛べるトップ選手たちは、ずっと上目遣いで目線を固定して、まばたきもしないから、テイクオフ前後でほとんど映像が途切れない。ほとんど見えているとのこと。

ここは、本当に取り入れたいポイントです。

次に予定している蔵王合宿ではここをテーマにしようと思いました。


●空中の安定
ここは妙高での練習から自信を持ってたところで、杉本さんからも、今堀先生からもそう言ってもらえました。

数年前と変わってスキーのバラつきも減り、大きな台や多少の風でも、安心して見ていられると。

空中は最近新しい感覚を得ていて、空気のフトンに倒れ込む感覚。身を委ねてしまっていい感覚。足だけ力が入って、それ以外の身体の力が抜けてる感覚。これが良い感じです。

【YouTube】直近の妙高でのジャンプ(7/30-7/31, 2016)
たまに正面アングルを仲間と交代で撮り合って、空中フォームの確認をしてます。


●ナイターの大倉山
今回は、ナイターの大倉山も初めて飛ぶことが出来ました。

ジャンプもそうだけど、スタート台からの夜景が本当に綺麗で。。

<Google画像検索>大倉山展望台からの夜景たち

火曜の初日は通り雨や夕立がけっこう続いたけど、水曜は澄んだ空で、最高の夜景でした。

大倉山からの夜景は、札幌市街を一望出来ます。大通りの真っ直ぐな通りも良く見えて、テレビ塔も見える。すすきの付近は光が集まっていて。。

夜は観光リフトクローズなので、普段はこの景色はナイターを飛ぶ選手だけの特権なのかもしれないですが、あれはもったいない。

あの素晴らしい夜景は、見たら嬉しくなる人がたくさんいるだろうなと思いました。

ジャンプも、1本良いのがありました。
いつも死ぬほど遅れるタイミングがほぼ合って、スーッと進んでいけました。

【YouTube】Yusuke Kitazawa - 2016 summer at Sapporo HS100/HS134


●写真:ナイターの大倉山

次エントリでは、大会期間の思い出いきます。
2016夏の札幌②2連戦