2017年9月12日火曜日

2017 新潟2連戦(塩沢、妙高)

8/27塩沢、9/3妙高の新潟2連戦終わりました。

まずはムービー

<YouTube>
201708-09 Yusuke Kitazawa - 塩沢HS86/妙高HS100/飯山HS68


●やっちゃった。笑
2試合とも堅かったな。

悪いクセのオンパレードだった感じ。
頭が低い被せ気味のアプローチ、踏み切りの準備動作、タイミングも遅れて、前にも飛び込む。

直そうとしてた悪いやつを、全部出しちゃった。笑

まだまだですね。


●塩沢
初日の練習1本目が内容はベストだったかも。飛ぶたびに狙いにいくようになってしまった。

良かった1本は、船木さんも一緒にビデオ見てくれて「うん、悪くない」と言っていただけた。

頭の向きが、だんだん固定されて変わらなくなってきてると。まだ若干潜りがちだけど、上に反り返るよりは良いって。

<船木さんのすごさ>
船木さんには、いつも感謝しかない。

大会でも練習でも、僕が飛ぶときはいつも下から見ていてくれて、それを元にアドバイスもしていただけたりする。

スーパースターなのに、ただのジャンプ好きなだけの僕らをここまで気にかけてくれる。

船木さんといえば、もはや有名かもしれないけど、ジャンプ選手としての活動に加えて、競技自体を発展させようとする活動もされている。

その取組み内容を、本当にざっくりだけど紹介すると、2つあると思う。


①ジュニア選手の経済的負担を減らす
・ジャンプをはじめ、スキーは競技人口が減っている。特に次の世代=子供たちが減っている。そこに歯止めをかけたい

・実際のところ経済的負担も大きいので、親も大変。そこが理由で辞めてしまうジュニア選手を減らそうと、道具の支援をしようと思った

・道具購入費に充てるために、アップルパイなどを売ることで、利益をあげることを考えた

・また、販売を行う仕組みをつくれば、引退した選手の雇用先もつくれると考えた

・支援実績も、寄付した道具は5000点を超えた


②選手として完全燃焼させる
・高校、大学卒業後に、実業団に入れる選手はごくわずか

・多くの選手は所属先がなくなり、試合に出場することが出来なくなり、引退につながる

・なぜなら、試合に出れなければ、ワールドカップ、オリンピックなど、世界への道は閉ざされてしまうから

・だから、専門学校にチームをつくってもらった(北海道ハイテク)

・そこなら選手活動を続けながら、職業的な専門知識も身につけられる

・そこで選手として花開けば、実業団から誘われるかもしれない

・また、いつか選手として完全燃焼したときも、社会に出たときに武器(=資格)を持った状態で働ける

・さらに、純粋にジャンプを飛んでみたい、上手くなりたい、という選手も受け入れられるように、社会人クラブチーム”FIT SKI”もつくった(僕はここ)


ジャンプ界をここまで考えて、実際に行動まで起こしている人って、世界でも船木さんただ一人じゃないかと思う。

このモチベーションがどこから来るのか。

いろんな記事を読む限りは「長野五輪後、金メダリストとして何が出来るかを考えた。とらせてもらったメダルの恩返しをしたい」ということのようだけど、それにしても、並大抵じゃない。

きれいごとでは到底出来ない。本当に骨の折れる、大変なことだと思う。

2008年頃からこの活動を始められて、もう10年近くなるけど、今も全く変わらない。

言葉は嘘をつけても、行動は嘘をつけないって聞いたことがある。だから、実際に行動を起こしている人は信じられると思う。それも10年間も行動し続けている。

「ジャンプを飛びたい人には、完全燃焼してほしい」

ここは本当に一貫しているんだと思う。

だからきっと、僕らみたいな、成績も出ない、ただのジャンプ好きおじさん達の面倒も見てくれるんだと思う。こんなこと、どんなメディアも報じてはくれない。それでも、船木さんは僕らのこともいつも気にかけてくれて、チームメイトとして迎えてくれている。


<船木さんのインタビューや特集記事>
本人の言葉だったり、僕が個人的によく取材されてるな、と思った記事たちを紹介します。たくさんあるのでごく一部だけ。

●スキージャンプ・船木和喜/多くの子供達に、スキージャンプの素晴らしさを伝えたい!
●船木和喜、飛び続ける理由(その1) ジャンプ人生、道半ば
●船木和喜、飛び続ける理由(その2止) ジャンプ元王者の挑戦
●金メダルのその先へ スキージャンプ選手・船木和喜さん


●妙高
さて、塩沢の翌週は妙高。
公式練習で飛んだ感じは、あまり良くなかった。泣

そのジャンプを久之さんも見ていてくれて、また前にいきかけてるぞって教えてくれた。自分でもその実感があった。

繰り返しだけど「飛び込まないこと」を本当に忘れないでいるべきだ。

本番はちゃんと踏み込んだけど、やりすぎて上方向に出過ぎちゃった。スキーを立て過ぎてしまった。

あんなにスキー立てて飛んだの何年ぶりだろうくらいって感じで、自分でもびっくり。もったいない。

61mだったけど、あの風なら65m~70mは飛べた感覚。前半でスキーを立てなければ、最近得意の、後半浮き上がるジャンプにつなげられたかもしれない。


●写真嬉しい
そして大会のたびに撮っていただける写真も嬉しい。これが大会に出るモチベーションの1つだったりする。

僕はもともとが観戦する側のジャンプファンだったので、観客席にも、当時一緒に観戦してた知り合いがいたりする。あとはFIT SKIに入れてもらったので、船木さんのファンの方たちとも知り合いになれた。

その中にはプロみたいな写真を撮ってくださる方々がいて、いつも素晴らしい写真を送っていただいている。


●塩沢でのジャンプ(西岡さん撮影)

嬉しい。笑
本物以上にかっこよい。笑

あと、実用面でも、ムービーでは分からないことが分かる。

たとえば空中の指の形。

葛西選手はリラックスしながらも指先まで神経が通ってるように見えるけど、僕はまだ指先に力みが残っていて、変に反り返っている。手のひらまでしかコントロールが及んでいない自覚がある。

あとは表情。上手くいったときはリラックスしてるけど、失敗したときはやばい笑、という顔してる。

でも、そんなことより、写真は何より単純に嬉しい。笑


●妙高でのジャンプ。空中フォームの手のひらは、もう無意識で広がる(西岡さん撮影)


●A級大会は飛距離を伸ばせないので、テレマークに賭ける(西岡さん撮影)


●飛び終わって、いつものみんなで見学(西岡さん撮影)

ケンは、今回は選手ではなく応援。3週連続で前転して以来、心折れて飛べないのが継続中。

しかし、前日の練習から泊りがけで応援に来てた。笑
こういう、何だかんだ言ってジャンプを離さないところは、不器用とも思うけど良いとも思う。笑


●飯山で息を吹き返す
そして妙高の試合では、社会人仲間の国体ジャンパーの道祖さん(岡山代表)が来ててびっくり。国体ぶりの再会かな。家族旅行の一環で、近くに来たので寄ってみたとのこと。

さらに試合後の午後に、飯山で飛ぶ予定とのことだったので、僕らも急遽合流することに。道祖さんと飛ぶ機会は貴重だし、僕らも高いゲートでのびのび飛びたかった。

飯山では、飛び込まないように修正ジャンプ。

本数を飛びながら「周りの風景だけが通り過ぎていく感覚」を、もう一度丁寧に思い出して、修正。

楽しかった。。
飯山
楽しかった。。
のびのび飛んで
K点越えて。。
楽しかった。。

1本、自分で満足するジャンプが出来た(ムービーのラストの1本)

流れないで、踏み込む。

自分のジャンプ人生の中で、最も品質の高かったジャンプの1つだったかもしれない。お盆の蔵王のK点超えのときと感覚が似ていた。

これを試合で出したかった。

飯山には、いつも大会でお目にかかる新潟の森さんも見に来てくれていて、「今日のジャンプなら、富山の大会は表彰台いけるんじゃないか」と言っていただけた。

狙おうかな。笑


●飯山でみんなと。(国井さん撮影)


●定着させるために
<無意識で出来ることが大切>
試合を終えて思うのは、新テクニックは、無意識にまで沈ませないと、試合では出せないな、ということ。

試合は練習とはやっぱりちょっと違う。

意識していることは、その通り出来る場合もあるけど、出来ない場合もある。それでは安定しない。

だから、意識してやってるうちはまだまだ足りない。

無意識でそれを出来るようになるべきだと思う。

ここでふと、昔読んだ本のことを思い出した。

英語の本なんだけど、英文解釈教室という大学受験界の名著がある(難しくて時間対効果が良くないので、大学生になった後に趣味で読んでた)

書いたのは駿台の英語講師の伊藤和夫氏。この方の本はとても好きだった。(1997年逝去、だから本でしか知らない)

そのあとがきにこんな一節がある。
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本書の説く思考法が諸君の無意識の世界に完全に沈み、諸君が本書のことを忘れ去ることができたとき、「直読直解」の理想は達成されたのであり、本書は諸君のための役割を果たし終えたことになるであろう。
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本書のことを忘れ去ることができたとき=無意識でもそれをやっている状態

ここはまさに、ジャンプと同じだと思う。ここまでやって初めて、新しいジャンプ台、その日の1本目のジャンプ、試合の様々な心理的揺さぶりの中でも、そのテクニックを安定して出せるようになるんだと思う。


<重要テーマは、モノになるまでやる>
「語学は理解が半分、慣れが半分」というのが伊藤和夫氏の持論だけど、ここもジャンプにも適用できると思う。

特に、大人からはじめたジャンパーは、ネイティブと違って理解も半分なくちゃいけない。加えて、身体に覚えさせるための慣れも必要だ。

やはり定着には時間がかかる。

だから、シーズン通して取り組もうと思う。

「飛び込まない」

ここまで定着させたいと思うテーマが見つかったのは幸せなことだと知るべきだ。

普通にやってると、目移りする。

ジャンプを好きなぶん、次々に試したいことを思いついて、結局モノにならないまま消えていくアイディアも多い。

でも、今回のこれはそれらとは一線を画す感じ。特別重要なテーマだ。特効薬とも思う。

これまで長年の飛び込みグセを矯正するので、カンタンじゃないと思う。

でも、テイクオフのここが直れば、飛距離が大きく伸びると思う。

だから、これが無意識に出来るようになるまで、ひたすら継続しようと思う。

そして、国体入賞とか、A級大会で2本目とか。

白馬で137mとか140mとか。

いきたいなと思う。