今回は清水久之さんのジャンプミニキャンプで、いつもの社会人仲間や大学生チーム、合わせて20人近く集まりました。
ミニキャンプは平成6年から始まって、今回で第93回目。記念の100回まであと2、3年!
この7月のキャンプでは、毎年恒例で清水ブルーベリー園でブルーベリー摘み体験をさせてもらってます。
●清水ブルーベリー園(新潟県妙高市)
http://www.blueberryen-s.com/original3.html
園の中にはブルーベリーの木がたくさんあって、ブルーベリーは枝から摘んで、そのまま口へ。まさにとれたてを味わえました。
ブルーベリー摘みには観光の方々もたくさん来てました。
妙高は長野からも近いし、赤倉温泉もすぐそばだし、ゆっくり休日過ごすには良いなあと思いました。

●この撮影の10秒後には口の中に。

●バニラアイス×ブルーベリージャム×ブルーベリーの粒。すごいおいしい。

●ミニキャンプのゼッケンにも注目(清水ブルーベリー園)
●テイクオフを集中改良
さて、ジャンプですが、初日は大学生たちが不在で、社会人のみの少人数でした。
よって、記録会とかお祭り的な盛り上がりは2日目以降でしたが、そのぶん久之さんにしっかり見ていただけて、がっちりアドバイスもいただきました。
僕はあいかわらずテイクオフを改良中ですが、久之さんのおかげで、アプローチからテイクオフの流れが変わってきたと思います。
たくさん飛べるときは、反復が出来るので、テクニックを定着させるのにちょうど良い。
今回は単に調子の良し悪しじゃなくて、具体的な積み上げを感じられた合宿でした。
●今回のジャンプ動画
20170715-0716 Yusuke Kitazawa - 妙高HS68
以下に詳細をメモ。
●スピード違反で追い越さない
「テイクオフで助走速度を越えて、前にいこうとしてはいけない」(久之さんより)
ここは、これまでの僕の決定的な弱点でした。
無駄に果敢に前に突っ込む、、というのが僕の長年の得意技ですが、お前はスピード違反だと。
今回はこれに尽きます。
助走スピードを追い越して、さらに前に進もうとすると、だめ。
<前に飛ばないほうが、逆に前に進める不思議>
実際に試してみて、自分のビデオを見てビックリしました。
不思議なことに、前に飛び込むよりも、真ん中に踏んだ方が身体が前に進んでいて、身体も起き上がらず完了までが早い。
ヒザが抜けにくくなって、そのぶんスキーが立たないので、後半浮き上がる。だから、飛行曲線も自分好みのより低い軌道になる。これには自分でも驚きました。
常に真ん中にいること、前に飛び込まないこと。
今さらだけど、ようやくこの大切さが、実感として分かってきました。
このエントリでは、前に飛び込まないことの良さを、(1)高さをとる、(2)空中スピードを得る、の2つでまとめてみました。
(1)高さをとる
<前に飛んでも物理的に意味ない>
ジャンプでは、前に飛ぶ力(=力の水平成分)は、ほぼ全てスリップして消えてしまう。
これは、スケートリンクに立っている場合を想像すると分かりやすい。
ツルツルの氷の上で幅跳びが出来ないのと同じ。
前に飛ぼうとしても、氷の上は摩擦がほぼゼロなので、靴底と床が噛まない(ひっかかりがない)ので、その力はスリップという形で無駄に消えてしまう。
つまりは、テイクオフで前に飛んで加速しようなどとは、決して思わないほうがいい。
それは物理的に無理だし、物理法則だけはどんな人でも覆せない。
#実際にはレールとスキーの間のわずかな動摩擦ぶんだけ前に飛ぶべきだけど、飛ぶときの感覚としては「決して前には行けない」と思っていて良いと思う。
<出来るのは、高さを得ることだけ>
よって、氷の上やジャンプのレール上で出来るのは、上昇力(=力の鉛直成分)の獲得だけと思っていたほうがいい。
だから、スピードを追い越さずに、そのまま真ん中で踏み込むのがベストだ。
テイクオフでは、自分の限りある筋力を、前にいこうとして使うんじゃなくて(どうせスリップで消える)、高さをとるためだけに使うのが、最も合理的ということだと思う。
#実際には、鉛直に踏むだけでも前方向の推進力は得られている。カンテは概ね下向き11°前後なので、カンテに対して鉛直に立てば、身体は前に押し出されている。ので、加速も十分に出来る。
<自分が上がるか、カンテを下げるか>
ちなみに。。
高さをとるときの選手の感覚はたぶん人それぞれで、自分が上に飛び上がる感覚だったり、カンテを踏み下げる(その反作用で身体が上昇する)感覚だったりすると思う。
どちらも同じことなんだけど、僕には後者=カンテを踏み下げるほうが馴染む。
過去に身体を上に飛び上がらせる感覚を試したこともあったけど、上手くいかなかった。
余分な上体の跳ね上げ(=エアブレーキ)をしがちになり、肩に力みが出た。さらに、空中にも上手く接続出来ず、身体が立ったままだった。そこから前傾をかぶせていくので苦しかったし、ロスも多かったと思う。
一方で、カンテを押し下げる感じは、冬ならスキーを雪の奥にめり込ませる感じ。これだと、上半身がリラックスしたままで起きにくくて、そのまま空中姿勢に入りやすかった。カーブでためたパワーを、ドーーーーンとカンテに置いてくる感じ。
ただ、これは選手個人個人の身体構造や感覚に合うかどうかなので、練習のときに両方試したら良いと思う。
(2)空中スピードを得る=ロスを減らす
(1)のとおり、選手感覚としては、テイクオフでは「加速」はほぼ出来ないと考えていたほうがいい。
では、どうやってスピードを得るか。
それは、もはや減点法しかないんだと思う。
つまり、加速が出来ないのであれば、減速を減らす=ロスを減らすことを考えるしかない。
<前に飛び込むと身体が立ち上がる=エアブレーキでロス>
実は、スピードを追い越して前に飛び込むと、空中姿勢の完了が遅れて、それだけエアブレーキが拡大するんだと感じ始めてる。
前に飛び込むということは、テイクオフのときは頭が低くて上半身が起きないので、一見エアブレーキが少ないように見えるかもしれない。でも、実はその後が良くない。
前に飛び込んだぶんだけ、空中への移行の途中で、お腹(おへそ)が前に出てしまう。
すると、どうしても飛び出し後に頭が上がり身体が立ち上がってきてしまい、エアブレーキを受けてしまうことで、ロスになる。

●前に飛び込むとお腹が出て、頭が上がり身体が起き上がってしまう
このあと前傾をかけ直して空中姿勢に入ったときに、ようやくエアブレーキ区間が終わる。
一度身体を起こしてからまた寝かせる、いわゆる「完了が遅い」ジャンプになってしまう。
<前に飛び込まないとロス軽減>
前に突っ込まないと、お腹が前に出ないので、テイクオフ後の頭の上がりが少なくなり、それだけ空中姿勢の完了が速い。
アプローチで寝かせた背中のラインをそのままに空中に入っていける感じだ=ロスが少ない。
さらに、上記(1)のように高さもとれるので、腰が釣り上げられるようになり、さらに前傾完了が早くなると思う。
<物足りなくても、それでいい>
テイクオフでは、ガツーンと加速したいと普通は思う。
だから、踏切で前にいかない、というのは、ちょっと消極的な感じだったり、物足りない感じがするかもしれない。
だけど、それでいい。
感覚は物足りないんだけど、物理法則的には飛距離は伸びる。
久之さんご本人も最近好調で、2017長野国体でも70mオーバーを連発してたし、5月の小出の大会ではK点も越えていた。
その好調の感覚をきくと、「物足りないんだけど、その方が飛ぶんだ」と教えてくれた。
だから、助走スピードを追い越さないこと、前に飛び込まないことは、(1)高さと(2)速さを両立するテクニックとして、すごく合理的なんだと思う。
●感覚的には、、
助走スピードを追い越さない感覚としては、、
アプローチを滑りながら、、
またはテイクオフ中も、空中でもだけど、
「自分が真ん中にいて、まわりの景色だけが通り過ぎていく感覚」
もう、これに尽きる。
これがすごく噛み合った。
真ん中にいて動かないこと。
前や後ろだとだめで、真ん中に居続けて、真ん中に踏み込む。すると芯を食える。
<この感覚を日常生活で例えるなら、、>
高速道路で飛ばして140km/hくらいで走ると、アクセルをグイグイ踏み込んで、前のめりになってハンドルを掴む感じになると思う。
これがだめ。この、前に前に、という前のめり感がだめ。
だから、するべきなのは、走行車線を80km/hくらいで運転しながら、速いクルマは追い越し車線で勝手に抜いていってくれる感じ。
前のめりにハンドルをつかむでもなく、かつ、のんびりしすぎて後ろのシートにもたれかかるでもなく、真ん中の姿勢でいることが大事。
まわりがどう動こうとも、自分は前でも後ろでもなく、いつもの日常で変わらない。こんな感じが良いと思う。
ジャンプの心技体のうち、心の部分はこのあたりで効いてくるのかもしれない。
●今だから出来るのかも
これまでは、僕は自分のジャンプに対して、すごくこだわりがありすぎたかもしれない。
どうしても、鋭く低く出たかった。
だから、頭をエグい低さにして前に突っ込んでたかもしれない。
テイクオフでバカ蹴りして、上からドスンと落ちるジャンプなんて大嫌いだった。今もだけど。
昔からずっと憧れだった、船木さんや岡部さんみたいな低い飛行曲線で飛びたかった。
低くて速い踏切動作、空母から離陸した戦闘機のように真っ直ぐ前に突き進む。空中は微動だにしない深い前傾姿勢。柔らかく、まるでグライダーのように滑空する。
ランディングバーンを舐めるような前半から、後半ふわーっと浮き上がって、本当にジャンプ台の底までいってしまう、美しい軌道。。
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【YouTube】船木さんフライングヒル(1998)
微動だにしない深い前傾姿勢と、柔らかい空中。4本連続飛型点パーフェクトV。
【YouTube】岡部さんフライングヒル(1997)
【YouTube】岡部さんフライングヒル(1998)
テイクオフ後、空中をスーーッと一直線に水平飛行する。まるで空母から離陸した戦闘機のよう。
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こんな感じで、子供のころ見た憧れが、強く色濃く残りすぎていたかもしれない。
そのせいか、これまでは今回と同じアドバイス(前に飛び込まない)を何度もらっても、いまいちピンと来なかったし、それを深く考えることも出来なかったんだと思う。
だから、せっかくヒントをもらっても生かせなかったし、今もテイクオフが苦手なままなんだと思う。
ただ一方で、その強い憧れがあったからこそ、ここまでやってこれたし、ここまで飛べるようになったとも思うから、なかなか難しい。
今、飛びはじめて何年も経ったことで、程良く憧れ(時として呪縛になる)がとれて、ようやくステップアップ出来るかもしれない。
〈参考〉
【YouTube】テイクオフ動画解説2012
真上に立て、という解説動画。
これも5年前から知ってたんだけど、そのときは「うるさい、オレは低く飛ぶんだ」と思ってた。多少効率を損ねてでも、低さにこだわりたかった。ただ、今はこうした方が飛行曲線を低く出来ると分かったので、やる。
●これを、この夏ずっと続ける
今回のテイクオフ感覚を定着させるために、もうこのシーズンは、ずっとこのテーマだけを続けたいと思う。
空中フォームの改良も、シーズンまるごとかけたおかげで定着した(今はもう、意識しなくても勝手に腕が広がる)
ジャンプの飛距離ってテイクオフが最大のポイントだけど、今の僕はテイクオフが一番苦手。だから、ここを改良出来れば大きい。それだけ伸びる余地も残っていると思う。
国体スペシャルジャンプ入賞も見えてくるかもしれない。東京都にポイントを持って帰れるかもしれない。
今回の感覚(=周りだけが過ぎていく、自分は動かない、真ん中に居続ける)は、自分のジャンプテクニックの大きな改革につながると思う。
この副次効果で、前に飛び込もうとする余計な動きが減るので、従来からの課題だったテイクオフ時の頭のグラつきや、下を見てた目線も改善傾向にある。
あと、バランストレーニングの意味も、よりハッキリ分かる。真ん中に居続けるためにはバランス感覚は本当に必須だ。
さらに、飛ぶ前に陸上でアプローチ組んだときのチェックポイントも変わってくる。あらためて、真ん中でいられる姿勢を確認したい。人に揺さぶってもらって、その中でも変わらずに真ん中でいられるかを確認する。
こうやって取り組みテーマが見つかると、次に飛ぶのが本当に楽しみになる。
やはり、いくつになっても過去の自分は越えていきたい。
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