2019年9月27日金曜日

2019.9.21-22 清水さんキャンプ103th(妙高)

9/21、22で清水さんのジャンプミニキャンプに参加してきました。

多忙続きの社会人チームにとって、貴重な練習機会です。


今回は3連休だったこともあり、九州から東北まで、30人近く大学生が集まって、賑やかでした。


社会人チームからは4人参加。


いつも通り、久之さんから、参加者全体に、時に個別にアドバイスをいただけました。


まずは、練習風景のムービー。久之さんの指導場面も入れてます。僕自身もだいぶ復調。


[YouTube]Sep. 2019 Yusuke Kitazawa - 妙高K60



<エアブレーキを避ける>

清水さんキャンプでの基本的な指針として、"ジャンプでは抵抗を受けてはいけない"、というものがあります。

ジャンプで一番やってはいけないのが、エアブレーキを受けること。すなわち、身体やスキーを立てること。


だから、テイクオフでは、身体を起こしてはいけない。


これは、全くもって物理的に正しい。


もちろん下からの抵抗は浮力だけど、正面からの抵抗はブレーキなので、減らしたい。



<足だけ伸ばす>

そのためには、

・テイクオフでは、背中はアプローチの状態そのままに保ちながら、足だけ下に伸ばすこと

・空中では、その背中を寝かせた姿勢のまま動かないこと

これを徹底して練習すべきだといつも教えてくれる。


キャンプでは、この指針が大きな軸として、ずっとブレずにある。


今回は1年生が多かったこともあり、特にここを徹底して、繰り返し教えてくれた。


これが、今回の全体テーマだったようにも思える。



<下に力を伝える>

アプローチの上半身はそのままに、下に向かって力を伝える。

カンテに伝えるんだから、当然、力は下向き。


真下に踏み込む。


僕自身も、ずっとこの動きをしようと試行錯誤してたので、今回のキャンプはちょうど良い流れだった。


とにかく下に踏む

とにかく下に踏む
とにかく下に下に下に
上半身全く使わずに下に踏む

下に踏み込む;

足の裏からかめはめ波撃つみたいな感じ。カンテに足裏のパワーを置いてくる感じ。

2日間、全てのジャンプでこれを繰り返して、だいぶ良い形が定着してきたと思う。



<テイクオフはOK、しかし空中がNG>

テイクオフ、それから空中まで、背中のラインを変えないこと。

このテーマに対して、最後は光が見えかけたけど、、途中かなり苦しんだ。


テイクオフは問題ない。


テイクオフで背中のラインを変えないのは、僕の得意技。これはすぐに出来た。


問題はその後。


空中に入った途端に、身体が起きてしまう。


どれだけテイクオフ時の背中が寝たままでも、その直後に頭の跳ね上げが入り、空中で身体が起きる。これが直らない。


つまり、ただ下に押すだけじゃ、だめなのだ。それでは空中までは続かない。



●テイクオフはOK。あとは空中。


<空中で身体を起こさないために>

空中まで背中のラインを変えないためには、この2つも合わせて必要だと思った。

いずれも、前回からの継続課題。


(1)前もだめ

(2)空中での安心感、前傾イメージが必要


<(1)前もだめ>

身体を上に起こすのはもってのほかだけど、前にいくこと。これもだめだと言うこと。

テイクオフで前にいこうとすると、お腹を前に突き出してしまうので、そのせいで頭が上がってしまう=身体は起きてしまう。


タツノオトシゴみたいになる。



●これ。前にいくとだめなやつ。


<後ろに飛ぶ感じでちょうど良い>

昔、AUTのシュリーレンツァウアー選手が、台車を使うテイクオフシミュレーションで、後ろに飛んでるの見たことある(YouTubeだったはずなんだけど、今は見つけられなかった、、)

最初見たときは、何をためにこれをやっているのか、全く意味が分からなかった。


的はずれな、妙な映像を流して、ライバル国を混乱させようとしてるのかと思った。



●シュリーは後ろに飛んでた。

ただ、今思えば、前に流れがちな踏切を矯正しようとしてたのかもしれない。

確かに、普通にしてると、真下に踏んだつもりでも、前にいきがちと思う。


少なくとも今の僕はそう。


だから、僕にとっては、後ろに幅跳びするくらいの感覚にして、ようやく真下かな、という感じだった。


そのくらいでないと、お腹を前に突き出してしまう。


これ、けっこう注意点だなと思った。



<(2)空中>

これも、前回からの継続。

空中の安心感;

前傾しても前転や分解しない感覚、自分の足でスキーをグリップしてる感覚、スキーの風圧を足で受け止めてる感覚、横風だろうと向かい風だろうと、足でスキーを抑えられる感覚。

これがないから、滑空することを避けるように、無意識に上半身を上に反らせて、身体を起こして、着陸準備をしてしまう。


やっぱり空中感覚を取り戻すことが必要。


今は徐々に飛距離も戻ってきて、フライトの安定感もそれなりにあるのだけど、まだ安心しきれていない。


ただ、かなり良いところまでは来てる。


次以降も、高めゲートで滞空時間を伸ばすのを続ける。あるいは、思い切って大きな台行ってみようかな。白馬とか。



<空中イメージ>

あと、出来るとしたらイメトレ。

頭の中でも、かなり動作をつくれる気がしている。


下に踏み込むことで、結果として腰が持ち上がって、身体にゆるやかな前回りモーメントが生まれる。それによって前傾がかかっていく。


この、前傾がかかった状態を頭の中で描きながらだと、テイクオフ後、スムーズに空中につながる。


前傾することが頭にない状態だと、いざ前傾がかかりそうになったときに、驚いて、反射的に身体を起こしてジャンプをやめてしまう。


踏み切る前に、空中の前傾を思い描いていることが、とても大切と思う。


このイメージづくりは、ジャンプ台にいなくても出来ること。というよりは、ジャンプ台に行く前にしておくべき準備だ。



<トップ選手のコピー>

あとは、他の選手の映像からヒントをもらうことも出来る。

トップ選手の中でも、自分がマネしやすいな、と思う動きの人はいるはず。


今の僕は、長野オリンピック後数年間くらいの葛西選手のイメージでいってみたい。


腰がドンッと前に押し出される訳ではないけれど、お腹を前に出さない感じをマネしたい。


[YouTube]Kasai, Noriaki - 92,5m - FIS WM 2001 Ski-jumping K90 Individual - Lahti


下に踏んだ力を脚に残し、踏んだままの形も保ちながら、スキーのトップの方に頭が近づいていく感じが良い。



<思い切りいくこと>

あとはもう1つ、自分のテーマがあった。

思い切り踏み込むこと。


これは前回の練習後、次のToDoとして挙げてたもので、テイクオフのパワーがあまりにも足りてないと思っていた。


結果として、キャンプを終えた今、踏切へのためらいはほぼなくなっている。


前回まで2、3割くらいの力だったけど、今は8割くらいまで戻せてきてる。


残り2割は、まだ空中に不安が残るので、そのぶん思い切りいけてない感じ。


ただ、飛距離はかなり戻ったし、前傾も深くなりつつある。


昨シーズンから続いた低空飛行を思えば、十分に、十分に復調の兆しが出てきた。


キャンプ初日の1本目は、恐る恐るで、26番ゲート(ほぼトップゲート)から40mくらい。


キャンプ2日目は、そのときの自分にしては力いっぱい踏み込んで、21番ゲートから54m。


ケガ後、今が一番状態が良いのは間違いなくて、もちろんまだまだなんだけど、嬉しかった。


<道のり>

 1. ゲートアップ
 2. ロングフライト、しかし危ない
 3. 飛型つくりなおし <--前回ここ。今はOK
 4. 再度ロングフライト、安定 <--★いまここ。あと2割くらい。
 5. 元通り
 6. もっと遠くへ


<パワーを戻せた理由>

ただ気合でパワーを出したというよりも、実はアプローチ姿勢を変えたことが大きい。

少し、腰を落としてみた。


と言っても、今までの形が、つま先にかかり気味、頭が下がり気味だったので、これで水平になったくらい。


しかし、これがすごく滑りやすいし立ちやすい。


腰を落としたおかげで、

・頭がもぐらなくなった(頭の高さが改善)
・顔の向きも、自然と前を向く(顔の向きが改善)
 -->安定したし、アプローチでの窮屈感がなくなり、テイクオフでもすごくラクに、素直に立ち上がれるようになった。

長年の悪いクセ(頭が潜って、顔が下を向く)が一瞬でなくなったような感じ。


直そうと強烈に意識しなくても、腰を落とすだけで、すごくラクにそれが出来るようになった。


だめなときの滑りって、自分が滑らされてる、スキーに連れて行かれてる感じだけど、


今回は、滑りが安定したせいか、自分は止まっていて、まわりの景色だけが通り過ぎていく感覚になれた。


滑りながらも、落ち着いて、Rやカンテを待つ状況になれた。


腰を落として、でも真ん中で組むために、指先はつかむ

腰を落とすことで、意識が足裏にいく
足裏に力が溜まっていく
カーブからのカンテまで全部見えてるから、長いストロークも出せる気がしてきた
その力をそのままカンテに置いてくる
足に残った力でそのまま、スキーをグリップしてグライダー飛行

立ちやすかった。だから、思い切り踏み込めた。



<そういえば昔も>

2013夏、杉本さんに札幌の荒井山で初めて見てもらったとき、カカトに乗って滑ってこい、っていうテーマがあった。

前に突っ込みすぎだから、直すために。


今回腰を落とそうと取り組んでて、その時と同じだと思った。


ただ、その時の僕は、鋭く低く前方飛び出すことに命を賭けてた時代だったから、素直に受け入れられていなかったかもしれない。


一周まわって、ようやく活かすことができそう。6年越しに。



<どこで変わるか分からない>

腰を落とすことについては、実は9月上旬に塩沢で村田さんと5本ほど飛んできて、そのときに南魚沼少年団のコーチからアドバイスいただけた。これがすごく大きかった。

アプローチで肩とヒザがくっついて動きづらそうだから、腰を落として、肩とヒザの間に隙間あけたほうが良いと思うと。


それをやってみたらヒットしたので、今回のキャンプでも継続していた。


塩沢へは旅行のつもりで行ったし、ビデオも自分たちで撮り合うものと思っていたので、まさか現地でビデオ撮っていただいて、アドバイスまでもらえるとは全く思っていなかった。


本当に塩沢のジャンプ台は、人が温かい気がした。


これは当然予想出来なかったことで、結局、そこでもらった一言が、今の復調気配に直結してる。


Googleの当時のCEOエリック・シュミットが言ってたけど、

"You cannot plan innovation, you cannot plan invention. All you can do is try very hard to be in the right place".

本当に、どこでどう変わるかなんて、読めないし、計画出来ないことも多い。分からないものだなあと思った。



<新しい期待が持てた>

アプローチが良くなれば、元通りになるというより、従来の悪いクセを消した、新しいジャンプを目指すチャンスが生まれると思う。

これはとても大きなことで、未来への期待が持てるのは、日々の励みになると思う。


日常的なトレーニングしようという気持ちを後押ししてくれるし、合宿が楽しみになるし。


結果として、心身ともに健康に近づくのではと思った。



<その他、気づいたこと>

●アプローチでの腕の形
これまでは、肩の力を抜いて、腕はだらんと下げてた。

今回そこから変えて、腕を後ろにピーンと伸ばして張って、そのままテイクオフ終わるまでキープしたら、良かった。


トップ選手のほとんどがこうなので、試す必要ありと思ったのだ。


まず、懸念してたような、力みにつながる感覚はなかった。


さらに、ピーンと伸ばした腕は、

・身体の丸みを取り除いてくれる
・腰の丸みや、首付近の丸みを軽減してくれる
 -->脚のパワーがそのままカンテに伝わりやすくなるし、方向やタイミングのズレも減る。

<参考>"スキージャンプの技術と体力(小野学著)"より

腰付近の丸みは、踏切時、下半身のパワーがうまく上半身に伝わらず、踏切の効率を損ねる。
首付近の丸みは、踏切開始時、最初に首上げ動作から始まり、タイミング、方向性の点で踏切効率を損ねる。
http://kitano-ski.com/data


<レジェンドたち>

今回の妙高には、日曜だけ石野さんがいらして、いつも通りに飛んでいた。

コーチボックスで僕のジャンプも見てくれていて、今の良かったなあと言ってもらって、嬉しかった。


石野さんは数年前に、14番ゲートから50m越えてたのを覚えてる。


今のはジャンプになってたかな、と言いながら、いつもテイクオフに鋭さがあって、スキーを決して立てない。


たぶん今67歳。


ジャンプっていつまで出来るんだろうと思うけど、そこまで出来ることを、実際に目の前で見せてくれている。


あと、我らが国井さんもそう。


56歳でラージヒル初挑戦、58歳でラージ第2戦。


船木さんも、56歳で初ラージは世界でも聞いたことがない、すごい、たぶん他にはいない、と言われてた。


こうやってLiving legends達の姿を見れるのって、すごくラッキーなことだと思う。


僕も今後何十年も、ジャンプ人生を諦めなくて良いんだと、信じさせてくれる。



<まとめと次>

今回は、とても良かった。嬉しかった。

だいぶ良くなってきた。


まだまだなんだけど、嬉しかった。


帰り道のドライブも、帰ってきてあとも、うきうき感があって、自分のジャンプの映像を見たいと思えたのが久しぶりだった。


次は、新しいことはしない。今回の定着をする。

・真下に(意識としては後ろに)踏む
・空中、ロングフライトを繰り返す(つくった空中イメージを試す)
・腰を落とすアプローチの定着をはかる(長年の悪いクセにサヨナラを)

次の合宿が楽しみ!




●久々の塩沢。ここで腰を落とすアプローチのきっかけをつかんだ。


●貸し切り。



●久之さんのレクチャー。やっぱりスキー操作って絶対に強い。
この状態から、1日でミディアムヒルスタートまで持っていく久之さんはやはりすごい。


●にぎやか。





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