夏休みを合わせて、山形の蔵王に社会人チームでジャンプ合宿に行ってきました。
毎年恒例になってます。今回は5人。いつも楽しみ。
●気象条件は良し
3泊4日で、気温や風の条件はすごく良かった。
去年は風がかなり強い印象で、飛べない時間帯もあったけど、今年は終始無風。異常なくらい無風。
気温も一転して、今年はずっと曇りで涼しい、たまに寒いくらい。8月の屋外とは思えず。
まるでまだ梅雨みたいで、異常気象な気もするけど、とりあえずサマージャンプには向いてた。
●ジャンプ内容はまずまず
まずはムービー。
【YouTube】201708 Yusuke Kitazawa - 蔵王HS106
ムービーは時系列順に並べてますが、ずっと試行錯誤してました。
力んだり、前に飛び込んだり、タイミング外したり、高速アプローチで乗り遅れたりと、まだまだ安定しませんが、徐々に平均は上がってきている気がしてます。
●試行錯誤!
①肩をリラックスすべし
蔵王入りした初日は、ここのところ出てる肩の力みが継続。
テイクオフ感覚を新しく変えているからか、肩の力が抜けなくなってて、過剰な手の動きが再発。
その影響で飛び出し直後に手を後ろに引いちゃって、前に進まない。
上半身も反り気味になって、手のバラつきは空中でも収まらず、空中をゆっくり楽しめる感じじゃなかった。ずっとバタバタ慌ただしく動いてる感じだった。
それをなんとか修正。
②前に飛び込まない
2日目以降、徐々に肩や手がリラックス出来てくると、スムーズに前に進むので、そのぶん前に飛び込みがちになってしまった。
前に飛び込まないのは今の重点テーマで、シーズン通して取り組むところ。
上半身を突っ込ませず、お腹を出さず、しっかり脚の力で踏み込みたい。
③身体のケアも必要
そして飛び込み気味なのを修正しているうちに、今度はだんだん疲労の蓄積で身体が堅くなってきたりして、アプローチ姿勢が上手く組めなくなった。
後ろに乗り遅れるようになってきたので、スタートでグッとしっかり骨盤から折り畳もうとすると、それがまた肩の力みにつながってしまって。
長期合宿だと身体が堅くなりがちだけど、ストレッチしたりタンパク質食べたりで何とかなるのかな。
さらにまた別で、テイクオフのタイミングも良く分からなくなってきたり。
●徐々に噛み合ってきている感じ
こうして、1つ直すとまた別の課題が出てきて、モグラたたきみたいだった。
いろんなパーツを全部同時にそろえるのってなかなか大変で、今回の蔵王では、実は会心のジャンプは1本もなかったかもしれない。
それでも、少しづつ平均は上がってきていると思う。
ホームランこそ出なかったけど、二塁打や三塁打は例年以上に打ててる感じ。
わりと好調だとも思う。
夏冬の札幌とか、塩沢や妙高とか、試合のときは本数が限られるから、飛びながらの調整は出来ない。
でもいつか一発、試合で全部入りのジャンプを決めたい。そしたら2本目もいけるかもしれない。
●良いジャンプのときの感覚=収穫
今、根幹に置いているのは「前に飛び込まずに、しっかり踏み込むこと」
良いジャンプのときは、やっぱりこれが出来てる。
そこそこ上手くいったときは、肩がリラックスしながらも、前に流れずに真下に踏めている感覚を、股関節からハムストリングスにかけて、あと足裏にも感じる。
今回の収穫は、この感覚を得られたこと。
このときはテイクオフからグイグイ進んで、空中で最後まで推進力が残るから、余裕が出て、90m付近でもテレマークも自然と入れられる。フライトが楽しい。
最終日にはK点95mを越えるジャンプも出来た。
去年もK点は越えていたけれど、そのときより内容は良いはず。
去年は強い向かい風で、プロペラのクルクルが見えなくなるくらいだったけど、今年は微風でいけた気がする。
今度はさらにテレマークも決めたい。
さすがにノーマルヒルでのK点ジャンプって慣れてなくて、そこまで飛ぶと大ジャンプに感じてしまって、テレマークがまだ出来てない。ここはまた来年の楽しみ。
●至福のビール
今回の合宿は、何より楽しかった。
宿も食事も、仲間も、ジャンプもジャンプ以外も楽しんだと思う。
「至福のビール」と僕らは呼んでるんだけど、練習後の1缶のビールが、本当においしい。
ジャンプを飛び終えたら蔵王の温泉に入ってさっぱりして、そこからすぐにビールを1缶。
夕飯前の空腹で、心地良い疲労感の中だと、たった1缶でもすごい効いてくれる。ほろ酔い。くらくら。
みんなで乾杯して、その日の全員のジャンプ動画を順々にモニターに映して、あれこれ話す。関係ないことも含めて。
シフク。
宿も去年と同じところで、「どさん娘 蔵王のいえ」
とても良いところ。食事も豪華。
去年以上に良くしてもらった。また来年もお世話になりたい。
●カメラで遊ぶ
いつものコーチボックスからの映像に加えて、いろいろ撮影してみた。
まず、飛びながらヘルメットカメラを使用。
単純に迫力もあるけど、実用上の効果も大きい。2つメリットある。
<ヘルメットカメラ>
(1)頭のグラつきをチェック出来る。特にテイクオフ付近で頭が下を向いてないかがポイント。頭の動きがそのまま映像に現れるので分かりやすい。
(2)スキーでレールの側面を擦ってないかチェック出来る。摩擦で減速しちゃうから、レールの中のさらに真ん中をちゃんと滑ることが必要。これはアプローチ速度にものすごく効いてくる。1~2km/hくらい、ゲート数段分の差が出る。
<フロントビュー>
あとは正面からの映像もけっこう使える。
正面アングルで撮るために、ブレーキングトラックの先にカメラを置いておいて、飛び終わったあとに振り返って後続メンバーを撮影。それを交代で撮り合ったりする。
前傾の深さやV字の幅、左右対称性、着地寸前まで粘れてるかなど分かる。
あと撮られてるときは、テレマークを入れようという気になれる。笑
あとは、こうして同じジャンプを複数アングルで撮れるから、単純に撮影後の遊びで編集してみても楽しい。
【YouTube】ヘルメットカメラと正面から
ジャンプは失敗だけど、国井さんが盛り上げてくれた。笑
【YouTube】コーチボックスと正面から
ムービー編集には、Macに標準で入ってたiMovieがなかなか優秀で楽しい。
操作にAppleらしいクセはあるけど(ほら直感的でしょう、と主張してくる感じ、笑)、総じてOK。
今年の蔵王合宿も満喫出来ました!
●イチローの安打数は、合宿中も日々数えてる
●みんなまきぞえ
7/29、30の土日も、社会人仲間で妙高で合宿してきました。
取り組みテーマは、前回からずっと継続。
テイクオフの改良。
スピードを追い越さない。
前に飛び込まない。
テイクオフでは高さしかとれない。
もうこの夏はずっとこれを続ける。
久々に、そのくらいの手応えがある。
【YouTube】20170729-0730 Yusuke Kitazawa - 妙高HS68/HS100
●これまでの感覚:鋭さを求めてた
前方向に飛ぼうとするパワーはほぼ全てスリップして消えてしまうけど、、
自分の持つ脚パワーが10だとしたら、
これまでは、<前:7、高さ:3>くらいに割り振ってる感覚だった。
前に飛ぼうとする比率を高めることで、低い飛行曲線をつくろうとしてた。
しかし実際には、<前:7⇒0(全スリップ)、高さ:3>で、
合計3のパワーしか伝えられていなかったんだと思う。
●テイクオフでは高さしかとれない
合理的と思われるのは、<前:0、高さ:10>なんだと思う。
ほんとは<前:1、高さ:9>くらいが良いんだと思うけど、
ほっといても前にいきがちだから、飛ぶときの選手感覚としては、全てを高さに割り振る感じで、きっとちょうど良い。
●身体に覚えさせたい
実際この新しいテイクオフ(前0/高10)に取り組み始めているけど、もちろんまだ定着出来ていない。
①まだ、たまに前に流れちゃう。
テイクオフ後にお腹を前に突き出しちゃうので、そのせいで、スキーが一度身体から離れてしまう。
重心も後ろから前に動くので、バランスも崩しやすい。だめ。
②まだ、頭がもぐりがち。
滑ってくる間は良いんだけど、最後の最後、テイクオフで飛び出す瞬間に頭が潜りがち。
つまり、飛び出し直前に見えてる最後の映像が、カンテの先端だったりした(=ほぼ足元を見てる証拠)
低く出ようとしてるからこうなる。
ただ、これを直せると大きい。
最終日のラスト2本直せて、そしたらすごく良かった。
●YouTubeの3本目(12秒目くらい)
完了が早い。膝戻りが減って、飛距離も伸びた。
一直線にライナーで進んでいける感じだ。
全く前に飛んでいないのに、はるかに大きな推進力と、前半スキーを立てないことで鋭く進んで、後半浮き上がった。胸熱。

●テイクオフ直後にスキーが立たなくなってきた
ノーマルヒルでもK点程度まで飛んだけど、以前の前に突っ込んでたときよりも、今は明らかに飛行曲線が低い。
高さを感じない。低空を進んで、しかし後半伸びるのが感じられる。
もぐらずに上手くいったときは、飛び出し直前の最後の最後まで、頭が動かない。下に向かない。
ただし、見えてる空中をめがけて飛び出すわけじゃなくて、自分は動かずに、同じ位置に居続けながら、その場でただ踏んでるだけ。それが大切。
この感覚が、身体に馴染んできつつある。
③まだ、力んでる
これはあまり心配してないけど、テイクオフでなぜか肩に力が入ってしまっている。ので、上半身バラつくし、右手を後ろに引いちゃってる。
ただ、これはきっとそのうち直るし、むしろこうして力みが出るということは、これまでになかった動きが出来てきている証拠と思って、少しほっとこうと思う。笑
●速さと高さ、トレードオフじゃない
これまでは、テイクオフでの速さと高さは、トレードオフだと思ってた。
それが選手の個性を生んでると思ってた。
長野五輪の頃に言われた、鋭く低い船木さん、高さの原田さんといったように。
けど、今は違うみたいだ。
レールがアイストラックになって、雪よりもさらに摩擦が少ない。溶けた雪、水が浮いて滑らない助走路は過去の話だ。
レールが均一で、摩擦が少なくなった今、前に飛ぶ意味が物理的になくなってきている。
テイクオフでは事実上、高さしか得られなくなってきている。
●理想のテイクオフの画一化
実は、ワールドカップのトップ選手のテイクオフや飛行曲線は、ほとんど個人差がないのだそうで。
実際に、フロイントとプレフツのテイクオフを比較した映像を見せてもらったことがあるけど、同じ人かと思うくらい全く同一で驚いた。
見せてもらったのは、定点カメラで撮ったワールドカップでの2人のテイクオフを、1つの映像にオーバーラップさせたものだったんだけど、膝角度や上半身の起こし方など、2人は全く同一なほどに重なってた。
にわかには信じがたいほどに完璧にピタリと重なってて、すごく驚いた。
それまでは、フロイントは高く、プレフツは前に飛び出していると思ってたけど、それは錯覚だった。おそらく空中フォームなどからくる印象で、そう感じてしまっていた。
実際のところ、前方向と高さのトレードオフはもう不要で、もはやそこに個性はない。
高さだけを求めることが、最も洗練されたテイクオフだと言えて、その方向で画一化されていくと思う。もうされてるかもだけど。
よって、今は世界のトップに近ければ近いほど、同じ動きをしていると思う。
出来ることは加圧だけだから、、さらに工夫するとしても、
同じだけ加圧しながら、どれだけ上半身の起き上がりを抑えてエアブレーキをなくすか、とか。
めちゃくちゃ体幹を鍛えて、バランス力をMAXにして、自分の力を全てカンテに伝えられるようにするか、とか。
直接テイクオフには関わらないけど、体重を落とすとか。
あとは空中で下の向かい風があることに賭けて、思い切って前傾してみるとか。追い風と読んで重心移行しないとか。
出来るのはそのくらいだと思う。
一方で、空中フォームはまだまだ各選手の個性が出てるところだと思う。
選手の空中フォームって、子供の頃から片鱗があって、基本的に変わらない。持って生まれたものを、そのまま上手になっても引き継いでる感じがする。
いつか岡部さんの7歳のときのジャンプ映像を見たけれど、やはり岡部さんという感じがする。空中のその人っぽさって、いつになっても変わらない印象。
だから、観客として見てるときは、テイクオフはトップ選手はほぼ変わらないので、空中に注目して、どのフォームが飛行効率が良いのか、風への対応が出来るのかなどを観察してたら面白いかもしれない。
●ちなみに
動画編集ネタなのですが、最近手ブレ補正があると格段に見やすくなることに気が付き、なるべく手ブレ補正付きカメラを使ったり、撮影後の画像処理で手ブレを減らしたりしてます。
アプローチ姿勢の揺れやテイクオフのときの重心など、手ブレがあると全く見えない動きが、補正されると目に見えて浮かび上がったりします。
これまではYouTubeのオプションにある補正機能を使ってましたが、MacのiMovieを試したらはるかに強力ですね。
補正力も画質も段違い。
これからは全部iMovieでいこうと思います。