また、新しいシーズンなので、いろいろ新しい道具もテストしてみたいという興味・好奇心もあり、スキーとビンディングを変えてみました。
●スキーをELANからFISCHERに
まず、スキーをチェンジ。
愛用してきたELANも好きだったけど、これまで他のメーカーのスキーを使ったことがなかったので、FISCHERのスキーを譲ってもらえたこともあり、試してみました。(高翔会の讃良さん、ありがとうございます)
●柔らかくてペラペラ!!
履いた瞬間の感覚としては、これまで使っていたELANと比べると、ペラいというか、柔らかくてペラペラしている印象でした。
だからスキーに対する信頼感があまりなくて、空中でこのスキーに身体を委ねて大丈夫かな?と思ったくらい。
●身体にフィットしやすい
実際に飛んでみると、FISCHERは空中でスキーが身体につきやすいと話できいていた通り、簡単にスキーと身体の一体感を感じました。
このぶん、空中でのフィット感はあります。
ただ、身体にスキーがピタッと付いてくるぶん、空中スピードは少し遅い感じがあり。ELANの方が速い感じがしました。
ELANの傾向としては、テイクオフ直後はスキーが寝たまま進んで、空中後半でスキーが上がってきます。
そのぶん空中スピードは速いけど、きれいに飛ばないとスキーが身体についてこないというか、少し扱いが難しくて、ストイックな感じです。
おそらくSPORT2000(=Fluege)はもっとその傾向が強いのかなと思います。
●トップ選手は独自のチューニングあり
ちなみにですが、トップ選手は自分好みにスキーの上がり方をチューニングしているので、上記メーカー別の一般論はあてはまらないです。
例えば、岡部選手が使っていたFISCHERを持たせてもらったことがありましたが、重さのバランスがすごくトップ寄りにあって、スキーが立ちにくいチューニングになっていました。自分のスキーの感覚で普通に持ってみたら、トップがカクンと下がってびっくりしました。
このスキーだと、わずかでも前に行き過ぎると、前に刺さってジャンプにならなくなってしまうけど、きれいに立てば、スキーが立たずに空中スピードが上がって、かつスキーと身体の一体感もあるという、スレスレのバランスなんだと思いました。(推測だけど)
また、葛西選手のFISCHERも、あれだけタイミングが遅れてもスキーが全く立たないのはちょっと異常だと思っていて、岡部さんと同様、もしくはそれ以上に重心をトップ寄りにしているのではと思います。あるいは、スキーを立たせない彼独特のテクニックがあるのかもしれないけど。
●ビンディングも新型に
そしてビンディングも変更しました。
カカトがスティックではなくて、滑車ぽいタイプ。新型。
http://carbon.slatnar.com/bindings/air-binding-sets/air-long-carbon-set.html


●気に入った!!
先に結論書いちゃいますが、これはいい、すごくいい。
無風が向かい風に変わる感じ。
●道具選択には検討が必要
この新型ビンディングのヒールパーツの傾き角度は、3つラインナップがあって、12°、16°、20°から選べます。
僕は傾き最大の20°を選んでみました。
新しい道具の選択にあたっては、一番早くて正確なのは実際にその道具で飛んでみることですが、そういう状況にはなかなかなりません。
ジャンプ道具はそこらへんのスポーツショップに売ってるわけでもないし、ビンディングは取外しや取付けに何時間もかかるし、スキーごと借りようとしても個人毎に長さが違うし、ブーツの大きさが違えばビンディングの位置も合わないし、、
よって、不明点がありつつも、いろいろな予想をしたり、使っている選手に聞いてみたり、最後はある程度割切りをしながら選ぶことがほとんどです。
例えば今回のビンディングも、ヒールパーツの傾きを12°、16°、20°の3種類からどれにしようか?という選択がありました。
僕は傾き最大の20°を選びましたが、あれこれ考えてみて、決めたのがこれでした。
●メリット
傾き20°のメリットは明快で、浮力UP、安定性UP(=横風耐性UP)の恩恵を最大に受けられる点です。
傾きの角度が大きいほど、スキーの滑走面が空中で下を向くので、前からの風をつかまえて、横からの風を受け流せます。
●デメリット?
しかし一方で、懸念もありました。
テレマークの難しさです。
ヒールパーツの傾きが大きすぎると、着地が難しいのでは?と思っていました。
この新型ビンディングだと、ヒールパーツが曲がっているため、カカトを上げても真っ直ぐには上がらずに、ビンディングのカーブに沿って内側に傾いて上がることになります。
すなわち、テレマークでカカトを上げたときに、強制的にヒザが内側に入る=X脚にさせられる状態になります。
よって、ヒールパーツの傾きが大きいほど、ヒザが大きく内側に入り、そのぶん足裏が外を向くことになるため、スキーが外に流れやすい傾向があると思いました。
例えば、かつてあれだけテレマークが上手だった葛西選手ですが、ソチ前後の時期は、後ろにした左スキーが外に流れる状態が続いていました。これも、カーブしたビンディングの影響では?と思っています。(この点は葛西選手本人も課題視されていて、ソチの翌シーズン終盤あたりから徐々に改善され、きれいに決まるようになってます。飛型点20点も出てました)
●僕には当てはまらない
しかし、このテレマークについての懸念は、僕にとっては幸か不幸か、あまり影響しなそうに思えました。
というのも、僕はもともとX脚気味というか、テレマークのときに後ろの足のヒザが内側に入りがちなので、自分の身体構造的にはあまり問題ない気がしました。
よって、思い切って最大の20°のビンディングを使ってみようと思いました。
●テストでは、極端なことをやるのが一番
また、いずれにしろ最大の20°がこのビンディングの良し悪しを一番感じやすいと思ったので、ハッキリさせようとして選んだ部分もあります。
基本的に、何かを試すときは、極端なことをやってみると一番ハッキリ分かりやすいと思うので、今回もそうしてみた感じです。
●実際に飛んでみた印象=素晴らしい!!
実際に飛んでみると、上手く予想がはまり、幸いにも、メリットは最大限感じて、デメリットは感じませんでした。
まずメリットとして、空中後半で、これまでに感じられなかったスキーの持ち上げがありました。
飛び終えてジャンプ台を振り返ってみると、吹き流しはだらんと下がっていて無風。それなのに、まるで向かい風を受けたような感覚がありました。
フライト終盤の風圧=持ち上げの感覚が全く違います。
ただ、これは別要因も含まれているかもしれません。
最近アプローチが良くなっているので、連動してテイクオフの方向が良くなり、飛び出しでスキーをあまり立てなくなったので、後半浮き上がる飛行曲線になっただけかもしれません。しばらくしたら、元のビンディングがついたELANで飛んで、確かめてみようと思います。
また、テレマークも全く問題なし。
むしろ、合宿中は自分史上最高のテレマークを連発出来た気がします。
結論として、この20°の新型ビンディングはかなり気に入ってます。おすすめ。
●余談:スペアパーツ
ちなみに余談ですが、ビンディングのカカトとブーツをつなぐためには、以下の写真のようなヒールクリップを使います。飛ぶ前に、このクリップをブーツにパチっとはめて、飛び終わったら外します。

このヒールクリップは消耗品なので、スペアが必須です。
着脱のたびに摩擦ですり減ってくるため、使っているうちにブーツから抜けやすくなります。もし空中で外れたら、、、とかは考えたくもない。
ビンディングの新規購入にあたっては、当然このクリップのスペアも同時購入するのですが、今回WEBカタログにスペアが見当たりませんでした。
そこで、昔から地味に鍛えてきた語学力と、会社員ならではの交渉力を活かして、スラトナーと会話をしてみました。
既存のスティックタイプ用のクリップと共用出来るのか?あるいは別途専用のスペアが必要なら、ストックはあるのかと。
すると最初は、モノはあるけどカタログには載せてないので、注文時の備考欄に書いてくれとの返事が返ってきました。
しかし、そのうち気が変わったのか、WEBに追加したよと言って、以下のページをつくってくれました。
http://carbon.slatnar.com/bindings/spare-parts/rear-binding-foam/air-clips.html
WEBカタログにラインナップされていると、他の購入者にも分かりやすいかなと思います。
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次回は2016GW合宿のテクニック編です!
ただ、身体にスキーがピタッと付いてくるぶん、空中スピードは少し遅い感じがあり。ELANの方が速い感じがしました。
ELANの傾向としては、テイクオフ直後はスキーが寝たまま進んで、空中後半でスキーが上がってきます。
そのぶん空中スピードは速いけど、きれいに飛ばないとスキーが身体についてこないというか、少し扱いが難しくて、ストイックな感じです。
おそらくSPORT2000(=Fluege)はもっとその傾向が強いのかなと思います。
トータルとして、FISCHER大好きとまでは思いませんでしたが、そんなに悪い印象もないので、ビンディングの付け替えも大変だし、とりあえずこの夏はこのまま行ってみようと思います。
●トップ選手は独自のチューニングあり
ちなみにですが、トップ選手は自分好みにスキーの上がり方をチューニングしているので、上記メーカー別の一般論はあてはまらないです。
例えば、岡部選手が使っていたFISCHERを持たせてもらったことがありましたが、重さのバランスがすごくトップ寄りにあって、スキーが立ちにくいチューニングになっていました。自分のスキーの感覚で普通に持ってみたら、トップがカクンと下がってびっくりしました。
このスキーだと、わずかでも前に行き過ぎると、前に刺さってジャンプにならなくなってしまうけど、きれいに立てば、スキーが立たずに空中スピードが上がって、かつスキーと身体の一体感もあるという、スレスレのバランスなんだと思いました。(推測だけど)
また、葛西選手のFISCHERも、あれだけタイミングが遅れてもスキーが全く立たないのはちょっと異常だと思っていて、岡部さんと同様、もしくはそれ以上に重心をトップ寄りにしているのではと思います。あるいは、スキーを立たせない彼独特のテクニックがあるのかもしれないけど。
●ビンディングも新型に
そしてビンディングも変更しました。
カカトがスティックではなくて、滑車ぽいタイプ。新型。
http://carbon.slatnar.com/bindings/air-binding-sets/air-long-carbon-set.html


●気に入った!!
先に結論書いちゃいますが、これはいい、すごくいい。
無風が向かい風に変わる感じ。
●道具選択には検討が必要
この新型ビンディングのヒールパーツの傾き角度は、3つラインナップがあって、12°、16°、20°から選べます。
僕は傾き最大の20°を選んでみました。
新しい道具の選択にあたっては、一番早くて正確なのは実際にその道具で飛んでみることですが、そういう状況にはなかなかなりません。
ジャンプ道具はそこらへんのスポーツショップに売ってるわけでもないし、ビンディングは取外しや取付けに何時間もかかるし、スキーごと借りようとしても個人毎に長さが違うし、ブーツの大きさが違えばビンディングの位置も合わないし、、
よって、不明点がありつつも、いろいろな予想をしたり、使っている選手に聞いてみたり、最後はある程度割切りをしながら選ぶことがほとんどです。
例えば今回のビンディングも、ヒールパーツの傾きを12°、16°、20°の3種類からどれにしようか?という選択がありました。
僕は傾き最大の20°を選びましたが、あれこれ考えてみて、決めたのがこれでした。
●メリット
傾き20°のメリットは明快で、浮力UP、安定性UP(=横風耐性UP)の恩恵を最大に受けられる点です。
傾きの角度が大きいほど、スキーの滑走面が空中で下を向くので、前からの風をつかまえて、横からの風を受け流せます。
●デメリット?
しかし一方で、懸念もありました。
テレマークの難しさです。
ヒールパーツの傾きが大きすぎると、着地が難しいのでは?と思っていました。
この新型ビンディングだと、ヒールパーツが曲がっているため、カカトを上げても真っ直ぐには上がらずに、ビンディングのカーブに沿って内側に傾いて上がることになります。
すなわち、テレマークでカカトを上げたときに、強制的にヒザが内側に入る=X脚にさせられる状態になります。
よって、ヒールパーツの傾きが大きいほど、ヒザが大きく内側に入り、そのぶん足裏が外を向くことになるため、スキーが外に流れやすい傾向があると思いました。
例えば、かつてあれだけテレマークが上手だった葛西選手ですが、ソチ前後の時期は、後ろにした左スキーが外に流れる状態が続いていました。これも、カーブしたビンディングの影響では?と思っています。(この点は葛西選手本人も課題視されていて、ソチの翌シーズン終盤あたりから徐々に改善され、きれいに決まるようになってます。飛型点20点も出てました)
●僕には当てはまらない
しかし、このテレマークについての懸念は、僕にとっては幸か不幸か、あまり影響しなそうに思えました。
というのも、僕はもともとX脚気味というか、テレマークのときに後ろの足のヒザが内側に入りがちなので、自分の身体構造的にはあまり問題ない気がしました。
よって、思い切って最大の20°のビンディングを使ってみようと思いました。
●テストでは、極端なことをやるのが一番
また、いずれにしろ最大の20°がこのビンディングの良し悪しを一番感じやすいと思ったので、ハッキリさせようとして選んだ部分もあります。
基本的に、何かを試すときは、極端なことをやってみると一番ハッキリ分かりやすいと思うので、今回もそうしてみた感じです。
●実際に飛んでみた印象=素晴らしい!!
実際に飛んでみると、上手く予想がはまり、幸いにも、メリットは最大限感じて、デメリットは感じませんでした。
まずメリットとして、空中後半で、これまでに感じられなかったスキーの持ち上げがありました。
飛び終えてジャンプ台を振り返ってみると、吹き流しはだらんと下がっていて無風。それなのに、まるで向かい風を受けたような感覚がありました。
フライト終盤の風圧=持ち上げの感覚が全く違います。
ただ、これは別要因も含まれているかもしれません。
最近アプローチが良くなっているので、連動してテイクオフの方向が良くなり、飛び出しでスキーをあまり立てなくなったので、後半浮き上がる飛行曲線になっただけかもしれません。しばらくしたら、元のビンディングがついたELANで飛んで、確かめてみようと思います。
また、テレマークも全く問題なし。
むしろ、合宿中は自分史上最高のテレマークを連発出来た気がします。
結論として、この20°の新型ビンディングはかなり気に入ってます。おすすめ。
●余談:スペアパーツ
ちなみに余談ですが、ビンディングのカカトとブーツをつなぐためには、以下の写真のようなヒールクリップを使います。飛ぶ前に、このクリップをブーツにパチっとはめて、飛び終わったら外します。

このヒールクリップは消耗品なので、スペアが必須です。
着脱のたびに摩擦ですり減ってくるため、使っているうちにブーツから抜けやすくなります。もし空中で外れたら、、、とかは考えたくもない。
ビンディングの新規購入にあたっては、当然このクリップのスペアも同時購入するのですが、今回WEBカタログにスペアが見当たりませんでした。
そこで、昔から地味に鍛えてきた語学力と、会社員ならではの交渉力を活かして、スラトナーと会話をしてみました。
既存のスティックタイプ用のクリップと共用出来るのか?あるいは別途専用のスペアが必要なら、ストックはあるのかと。
すると最初は、モノはあるけどカタログには載せてないので、注文時の備考欄に書いてくれとの返事が返ってきました。
しかし、そのうち気が変わったのか、WEBに追加したよと言って、以下のページをつくってくれました。
http://carbon.slatnar.com/bindings/spare-parts/rear-binding-foam/air-clips.html
WEBカタログにラインナップされていると、他の購入者にも分かりやすいかなと思います。
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次回は2016GW合宿のテクニック編です!
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