2014年2月2日日曜日

テイクオフのスキルアップ-STEP1(part2/2)

<STEP1>上半身を動かさず「足だけ伸ばす」を徹底させる
part1より続き。

■足で立ち上がる大切さは、個性に関わりなく共通
どんな飛び方をする選手でも、トップ選手であれば、テイクオフで足を伸ばさない選手はいない。
すなわち、テイクオフにおけるありとあらゆる個性 - インパクト型や、ロスレス型 - に関わらず、とにかく足で立ち上がることが必須であることに変わりはない。「足で立つ」ことは、例外なく言い切れる、基本中の基本だ。
よって、まずは、「足の力で立ち上がる」ことを定着させることが必須条件だ。

<参考>
インパクト型:
上半身を起こして、踏切で高さをとる。(Simon Ammann、原田雅彦など)

ロスレス型:
上半身を起こさず、エアブレーキを避ける。(Jannne Ahonen、長野当時の船木和喜や岡部孝信など)

いずれの型にしろ、足を使って立ち上がる、ことは完全に共通している。


■入門編のテクニック
はじめは上半身は使わないテイクオフ(ロスレス型)をおすすめしたい。
理由は、ロスレス型は上半身を使わないので、最重要である足だけに集中出来るからだ。

テイクオフで上半身を使おうとすると上半身に意識がいきがちとなり、肝心の足がおろそかになる。よって、基本中の基本である「足の伸ばし」が弱くなりやすい。

だから、まずは上半身は動かさず、アプローチ姿勢のままキープし続けることを推奨する。

なお、この段階では、どれだけヒザが戻っても気にしなくて良い。それは次のSTEPで考える内容だ。

STEP1での実際の動き方としては、
背中はアプローチを滑ってるときのままで、ただ足だけを伸ばす。(オレとか袖野くんとか大河くんのイメージ)


■飛び出す方向は、何も考える必要はない。
上半身はアプローチ姿勢のまま動かさずに、ただ足だけを伸ばすことに集中する。これで自然と方向性は出る。

はじめからどこかの方向を狙うと、どうしてもその方向に向かって上半身で飛びついてしまい、上半身に神経がいくので、結果として足がおろそかになることが多い。
だから、上半身は脱力をおすすめする。(結果、背中が起きないロスレス型になると思う。)

上半身は脱力して何も考えず、テイクオフが終わるまで、アプローチ姿勢のまま動かさずにほっておく。

集中すべきはただ1点。「足を伸ばすこと」だけだ。


■背中が起きないことのメリット
(1)足自体の力で立つ、という基本動作が忠実に身に付く
 ⇒下半身より先に上半身が動き出してしまうという、悪いクセがつかない。こうなると、足の力が全く身体に伝わらなくなってしまう。また、上半身が動くと、一見ダイナミックな動きに見えるけど、実は足からはあまり力が出ていなかったりもする。上半身の動きでごまかさず、力は足からしっかり出すのが基本だ。

(2)テイクオフでのエアブレーキが少ない

(3)空中姿勢の完了が速い
 ⇒足さえ伸ばせば、それで飛型が完了する。背中を起こす場合は、一度起こした後、再び前傾をかけて沈める動作が入ってようやく完了する)

(4)空中での前傾もかかりやすいので、空中での飛行効率も良い
 ⇒背中が寝た状態(=アプローチのときの背中角度そのまま)であれば、はじめから前傾してるようなもの。背中が起きた状態から空中スタートするより前傾しやすい。


■その後の展望
ある程度飛距離が伸びてくると、取り組める内容にたくさんの幅が出てくる。

(1)空中姿勢
ミディアムヒルで45mを越えていけるようになれば、空中姿勢(V字の幅、前傾など)をブラッシュアップしてもいい。もう少し前傾を深めて見ようかとか、V字の幅広げてみようとか、手のひらの向きを変えてみようかとか、、、空中での試行錯誤が出来るようになる。滞空時間があるからこそ出来ることで、これは本当に楽しい。

空中はジャンプの醍醐味だ。バスケでいえばシュート練習、野球でいえばバッティング練習にあたると思う。早くこのステージをみんなに体感してほしい。ジャンプが一番楽しい瞬間だ。

(2)着地
それまでは、空中姿勢に入るか入らないかですぐ着地だったとしても、ある程度飛距離が出て、フライト姿勢がとれるようになると、テレマークの練習も始められる。
K点付近まで飛んで、長い滞空時間を感じながら、最後にテレマークがバシッと決まったときの快感は最高だ。これを越えるものはない。

(3)テイクオフ
テイクオフでも、さらに新しいステージに進んでいける。
空中感覚がつかめてくると、連動してテイクオフもスムーズになってくる。その理由は、空中イメージが身体に残っていれば、自然とそこにつながるような動きをするようになるからだ。

滞空時間が長くなり、空中で身体を預けても空気が受け止めてくれる感覚を体験することで、テイクオフの動きが、自然と前方に飛び出せるようになる。

それまでは、腰が引けて後ろに逃げるようなテイクオフだったとしても、次第に身体を空気に預けて、空気の層にダイブするような方向で飛び出せるようになっていく。僕があれだけ低い角度で飛び出せるのも、空中であれだけ前傾しても大丈夫という感覚があるからだ。

つまり、ただ足を伸ばすだけだったテイクオフを、よりロスを減らしたり、よりパワーを伝えたりといった試行錯誤が出来るようになる。

足を伸ばしきれるようになるだけで、取り組める内容がこれだけ広がる。


■絶対にやっちゃいけないこと
ここで、絶対やりたくない動きは、
強く、思い切り立とうとして、上半身を跳ね上げちゃうこと。

ある程度ジャンプに慣れてきたとき、余裕が出てくるので、思い切り踏み込んでみようという気になってくる。

そういうときは大抵、全身運動になりがちで、上半身もあわせて使ってしまう。

すると、カンテで打ち上げ花火みたいな動きになる。

打ち上げ花火というか、垂直跳びというか。そうなると、言うまでもないけれど、スキーが立ってしまい、エアブレーキになり、飛べない。

動きの大きさで、ある程度は距離は出てしまうので、本人もなかなか別の動きに変えようという気にもなれない。

ただ、物理的事実としては、飛距離は頭打ちになる。K点までは達しない。

さらに、「真上に立て」というアドバイスもあり、これ自体は全く正しいのだけど、初心者は誤解しがちと思う。

誤解しがちなのは、
上半身を真上に起こせと言ってるのでは決してない。

ここで言われているのは、
トップ選手で、前に鋭く飛び出してしまう選手に対して、それではスリップするので、しっかり真下に加圧しろ(そうすれば、反作用で身体は真上に持ち上がる)ということ。

あくまで加圧の方向の話であって、上半身を起こす角度では決してない。

つまり、背中を起こさないままでも、足だけ真下に踏み込めば、身体は真上に持ち上がるのだ。


■次STEPへ
もちろん、ジャンプのテイクオフの究極形は、足の力を使いつつ、ある程度上半身を解放した形なんだと思う。だけど、これはいかんせん技術的に難しい。

STEP1では、ただ足だけ伸ばせばよい。つまり、足だけ=1つのことだけを考えていればいいのでシンプルだ。
でも、足と上半身とをどちらも動かすとなると、2パラメータを考える必要がある。さらに、この2つは連動している。とても複雑だ。

ただ両方を動かすだけでなく、相互作用がある。すなわち、足の力を引き出すように上半身を動かす必要がある。
また、動き始めるタイミングも、上半身と下半身、どちらが先になってもだめ。同時に動いていく必要がある。これは技術的に難しい。やろうと思っても難易度が高い。

だから、ここはSTEP2として、次のレベルの技術として取り組む。


■まとめ
・とにかく、足の力で立ち上がろう。ためらいなく、思い切り踏み切れるようになろう。これだけでも十分な飛距離を飛ぶことができる。(STEP1)
・足自体の力で立ち上がるためには、上半身は使わずに、下半身に注力しよう(はじめのうちは)
・上半身も同時に使った高度なテイクオフへのチャレンジは、足が思い切り伸ばしきれるようになって、その後で十分だ。(STEP2)


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