2019年11月2日土曜日

2019.10.26-27 清水さんキャンプ104th(夏のラスト)

●10/26,27 104thジャンプミニキャンプ
いつも通り、妙高赤倉のK60でのトレーニングでした。

これで、2019夏のシーズンは終了です。

この夏の合宿日数は、例年の1/3くらい。

もっと飛びたかったな。

[YouTube]Oct. 2019 Yusuke Kitazawa - 妙高K60


●現状
終わってみて、ジャンプの調子は、今ひとつ。

ワーストは脱した感があるけど、ちょっと物足りなかった。

数字でいうと、ゲート22、ほぼ無風で、58m。

この飛距離だったら、ゲート15くらいの感覚なので、まだ7段分、過去の自分にも届かない。

練習のたびに良くなってきてはいるけど、もうシーズンが終わってしまって。

物足りない、まだ食べ足りない、腹三分目なのにおかわりがない。

そんな感じ。

自分のジャンプを見ても、野球のフライみたいな軌道で、ライナーじゃない。でも、もう少しで、という感覚も生まれてきた。

ただ、次飛べるまでは待つしかないので、その間に動く身体を維持したり、動き方のイメージをつくったりの準備をする。

今、飛んだ感覚が残った状態で、ふと落ち着いて振り返ってみると、いくつか取り組みたいことは見つけた。

空中、アプローチ、テイクオフのそれぞれで、ポイントを見つけた。


①空中
前傾の浅さ、身体が起き上がってしまう現象は、結局直せなかった。

ただ、こうすれば直るはず、というのは見えてきた気がする。
慣れに任せるだけじゃなくて、具体的に注力するポイントに気が付いたと思う。

●踏んだあと、脚から力を抜いてしまってた
 -->力を入れ続ける。それには、空中イメージが不可欠(前回も同じこと言ってる)

結局、だめなときは基本動作が出来てないと思った。

何が僕にとっての基本かというと、それはハッキリしていて、
基本動作=空中での脚パワー発揮=FTMM(過去記事)

空中でも脚パワーを入れ続けるためには、
空中のマキシマム=一番前傾が深まって、スキーの裏に浮力を感じている時間、をイメージして、その飛型をつくりにいく。

<空中につながる踏み切り>
これまでの経験上、

×テイクオフで、カンテを踏みつけるイメージだと、だめ
 -->踏んで終わりになって、空中まで続かない

○テイクオフでは、空中(マキシマム)をつくりにいくべき
 -->踏んだ後まで、脚の力が続く

自分のテクニックがノーマルな状態であれば、マキシマムでは、足首でスキーを引き付けて、脚全体を鉄パイプにするみたいに力を入れている。

そうすることで、
・向かい風による浮力も受け止めることが出来るし、
・横風の揺さぶりをものともせず、
・追い風で叩かれるスキーを持ち上げることができる。

この状態だと、自分の中で、自分のジャンプに揺るぎない確信が持てて、スモールヒルでもラージヒルでも、向かい風でも追い風でも何でも来いという状態になれる(強い横風だけはいつも嫌だ)

そんな状態で初めて、安心してスキーに身体を預けられるようになるので、深い前傾が戻ってくる。

以上、結論的には、新しいことは何もなくて、
空中では一番の基本動作=FTMMをもう一度徹底するだけなんだけど。

何でだろう。練習中、飛びながらだと、気付かなかったり、対策を確信出来ないことが多い。

後で落ち着いて振り返って、初めてこれをやるべきだとしっくりくる。

経験はしても、その消化には多少の時間がかかるのかもしれない。


②アプローチ
●腰を落とすと良くて、落とせないとだめ
腰を落とせないと、無駄な動きが増えると気付いた。

ジャンプの1つの理想として、
頭と腰の高さが、アプローチ、テイクオフ、空中までずっと同じ、というものがあると思う。

すなわち、頭と腰が同じ高さ(=背中が水平)なまま、変わらない動きが理想。


●背中のラインが一定(理想的)

なぜ理想かというと、エアブレーキが少ないことと、あともう1つ。

ジャンプの成功率が高くなると思った。

背中を動かさず、動かすのは脚だけ。このシンプルさがポイント。

動きが単純であればあるほど、失敗が少ない。

<動きを単純化することで、ミスを減らす>
小野学さんが良く言われてたけど、
「野球は打率3割で良いけど、ジャンプでは9割以上成功しないといけない」

成功率を上げるためには、何度繰り返しても、正確にその動きをリピート出来る必要がある訳で。

複雑な動きはしない。不要な動きはそもそもしない。

すなわち、無駄な動きを省く。これが大切と思う。

基本的に上半身を動かす必要はないのだから(過去記事)

上半身の動きは省いて、脚だけ伸ばす。単純化。

この動き方は、エアブレーキを減らす観点からも、再現性・成功率の観点からも、合理的と思える。

<腰を落とす>
腰を落とした形は、基本的に立ち上がりやすい。

重量上げやスクワットと同じで、Gのかかった重たい身体を持ち上げるのに適している。

素直な動きになると思う。

あと、動作もシンプルになる。

現実には、テイクオフでは多少背中は起きる(僅かに頭が高くなる)けど、

アプローチで腰を落とし気味だと、最初からその形をしている訳なので、余計な動きを省けていると思う。


●腰を、気持ちだけ、水平より下げる(現実的な形)

この葛西選手が、まさにその動きをしてる。
[YouTube]Noriaki Kasai/葛西 紀明 - 219,5m Planica 2019

[2017のこれ]もいいな。


●では、腰を落とすために
どうするのか。

現段階では定着まで遠いので、作戦をたてたり、こうして書いたりしながら、意識付けが必要な感じ。

(1)身体の柔軟性は必要(筋肉、関節)
・ストレッチで、ハムストリングスあたりを伸ばしておく(夜寝る前に)
・股関節、足首関節も、可動域をひろげておく(イチローと同じジムで出来る)

(2)ヒザが内側に入る形をやめる
・自分の身体の構造的に、内股、ヒザが内側に入る傾向がある
 -->ヒザが内側だと、腰を落とし切れない。上半身が太ももに当たって、一定の高さ以下に落とせない。その高さでロックがかかる。
 -->正しい形だと、すんなり落とせる(ヒザ下を垂直にする)

・良い形を探して、定着させる
 -->鏡の前で確認しながら組む

(3)イメトレ(モノマネ)
・船木さんがまさにこの形のアプローチなので、船木さんをコピーする感じが良いかも。


●自分の悪いクセ(内股気味)
太ももが邪魔して腰が落ちない。


●このくらい開く意識でやらないと、直らない。
#正しい形は、ヒザ下が垂直。


③テイクオフ
●手を下げてみる
・踏み切るとき、手を膝より下まで下げてみろ。ためができるから(by 久之さん)
 -->良いかも。

・手を下げようとすると、背中は水平なまま、腰が折れて、腰を90°直角に折る感じになる。脚は真下に伸ばす感じ。
 -->空中で苦しさがなかった。映像でも、空気を抱え込む形に見えた。


●1年生、2年生ジャンパーたち
話は変わるけど、大学生ジャンプミニキャンプでは、はじめたての選手たちをよく見かける。

<みんなけっこう上手い>
遠くから来て、少ない練習機会で、良くやってるなあと思う。

九州、神戸、大阪、東京、東北の各エリアから通って来る。

始めて間もないうちからミディアムヒルでスタートしていて、ほとんど転ばない。

僕が始めた最初のひと月くらいは、飯山のスモールヒルで10回中10回転んでた。

<最初を乗り越えられれば>
ジャンプは、一番最初が一番つらいと思う。

最初の、30m前後で落ちてるときが一番の耐え時で、ここでやめちゃう選手も多い。

そこを越えれば一気に楽しくなるのだけど。

僕の場合は、35mが壁で、そこでしばらく停滞していた。

どうやっても35mを越えられなくて、何週間も進歩しない。ストレスはたまるし、このまま上手くならないんじゃないかと思ったりもした。

お金も時間もかかるし、それで雨だったり、雨の中転んだりするともう最悪。何でこんなことしてるんだろう、とか思う。

しかし、そこを通り過ぎることが出来たら、あとはすごく楽しい。

<その後が楽しい>
45m越えるとすごい世界に来た気がして、50mとなると来た来た来たという感じ。

P点56mだともはや自分は天才ジャンパーなんじゃないかと思って、K点60mに達すると、とうとうやったという感覚。

初めてK点を越えたときのジャンプは、もう6年も前だけど、まだ覚えてる。

見える景色も滞空時間も段違い。

飛び出し後、視界が戻ったときに高さがあるから、眼下の遥か遠く、ずっと遠く、ジャンプ台の底に赤いライン(K点)が見える。

そこに向かって、風圧を全身に感じながら降下していく。

グライダーみたいに滑空して、5mおきの白線たちをスルスルスルスル通り過ぎて、赤いラインを越えたところで着地。

この感覚は、体験してほしい。

あとおすすめは、久之さんのミニキャンプのときは、n次会まで残ってると良いと思う。

ジャンプの技術論も話せるし、その場でアプローチを組んで、コメントをもらいながら形を直せたりする。テイクオフ、空中も含めて、全般的なアドバイスももらえる。それに昔のいろんな大会や往年の名選手たちの面白いエピソードが聞けたりして、単純に楽しいと思う。


●次
僕自身として、やるべきことは上に書いた通りだけど、特にアプローチを優先するつもり。

次に飛べる機会はいつになるかな。

この冬の国体は、何とか出たいと思っている。

年末年始の北海道には行けないのだけど、大学生の九大戦?のテストジャンプで雪上慣れしつつ、東京都予選に出るシナリオを考えている。

ジャンプ以外のこととのバランスをとりながら、冬も、来期以降も、変わらず飛びたい。