北海道合宿でつかんだテクニックについて、まとめとしてポイントをメモしておきます。
●ジャンプの重要テクニック
①FTMM(by船木さん)
大学生チームのジャンパーたちも、「足を張る」「足の張りが弱い」などの表現はよく使っていて、空中で脚にパワーを入れることの重要性を知っていると思う。
では、その「足を張る」ために具体的に何をすればいいかというと、それは「太ももに力を入れること」だけでいい。(船木さん直伝)
太もも(FTMM)にさえ力を入れれば、人間の身体の構造的に自動的に脚全体の筋肉に必要な力が入る。
よって、足全体に力を入れたいときも、自分で意識するのは太ももだけで良い、ということだ。
空中で脚パワーが入ることの効果は以下の通り。
(1)空中分解の可能性が減り、安全
(2)向かい風を浮力に変えることが出来る
<映像で見るFTMMの効果>
この効果を、何より映像で紹介しておきたい。
空中分解がなくなり、安定して飛べるようになる。
[YouTube]FTMMなし/あり比較
やっぱり足に力が入っていると、とにかく安全なんだ。
空中で風の揺さぶりに耐えることが出来るし、向かい風が来た時はそれをしっかり受け止められるようになるので身体が持ち上がる。
<もしも足が張れないときは>
もし空中で足がゆるむ場合は、アプローチの段階からFTMMに力を入れておけばいい。(これもby船木さん)
自分の場合だと、アプローチのスタートで腹筋と骨盤に力を入れておいて、その上に上半身を乗せる感じで組むと、テイクオフした後も脚に力が入り続けてくれることが多い。
みんな、アプローチでどうしておくと空中で足に力が入るか。各自試しておくと良いと思う。
ジャンプは安全確保が第一。
だから、まずやるべきことは、このテクニックだと思う。
②アプローチで腰を落とす(by船木さん)
<立ちやすい>
腰高のアプローチで、上半身をつぶしながら滑ってくると、立ち上がるときには、実はものすごく脚力が必要になる。
そこで、腰を落とすor頭を上げるのどちらでもいいんだけど、頭の位置が腰より若干高くなるくらいで組むと、脚力がなくてもすごく立ちやすくなる。
これ、やれと言われてもかなり半信半疑だと思う。正直えーって思った。
しかしながら、それでもと思いながら実際に腰を落としてみると、すごく立ち上がるのがラクになって、実はこれまですごい苦しい中で立ってたんだと気付いた。
そしてテイクオフで足がすっぽ抜けにくくなるので、腰が前にいくようにもなってきた。
●左:従来アプローチ
●右:腰を落としたアプローチ
●左:腰が後ろ。頭が下を向くので目線が近く、タイミング遅い
●右:腰が前に出て、目線を遠くにおいているのでタイミングも合う
<顔の向きそのままドーーーーン>
また、腰を落とすと顔の向きが上がってきて、こうなって初めて、西方俊也さん直伝・顔の向きそのままでドーーーンが出来た。立ちやすくなったおかげだろうか。
顔の向きそのままに、頭の位置をそのままにするように飛び出すと、テイクオフ動作の中で、肩の開きや上半身の動き出しがない。よって、ロスのない、無駄のない、きれいなジャンプに近づける。
③なめらかに、ラインを崩さない(by桜井さん)
<角のある動き、激しい動きはしないこと>
滑り始めてから自由落下のラインのとおりに、なめらかに、ゆるやかに、しなやかに、静かに動く。
例えば、これまではテイクオフで急激に手を使ってしまっていたけど、これでは自然と前に進んでいく流れを崩してしまう。
だから、今後は力を抑えてでも、自然の流れを崩さないで飛んでいこうと思う。
角のある動きはロスになる。急激に動くのは必ずロスになる。だから、流れを崩すような激しい動きは絶対にしないこと。
実際にテイクオフで手を使わずに、立ちながらサッと手を体側につけるようにすると、空中でスムーズに進んでいく気がした。
●自分のジャンプが伸びるとき
<失敗は増えるけど、それでいいのかも>
上のテーマに取り組んでいるときに、特に②③では、それまでには出なかった極端な失敗ジャンプが急に多くなった。
余市でK点50m越えを連発していたのに、急に35mに落ちる。
どうしたのかなと思いつつも、失敗したあとスロープカーに向かう途中、これは良いことなんだと思いながら歩いてた。
というのも、それまでにやったことのない動きが出来ている裏付けだと思ったからだ。
<守りに入ったトレーニングは決してしない>
きっと、既に出来る範囲内、安全に飛べる範囲内のジャンプをリピートしているときは、失敗は少ない。でも、ジャンプは変わらないはず。
このときは、ちゃんと自分のジャンプを変えようとする動きが出来ているんだと思えた。このまま続けていけば、いつか1つ上の到達点にイケるはずだと思えた。
自分のジャンプを変えるときは、それまでに持っている安全飛行のイメージに当てはまらない動きをするわけなので、誰でも恐怖感はあるんだと思う。でも、より遠くに飛びたいのなら、変えないと意味がないんだと思う。
--
今後は、上の3つが重点テーマ!
特に、①FTMMだけは何としてもマスターするべきだ。
--
さて、8月後半からは本州で連戦!
去年よりきれいに飛びたい!
さて、日本には2つのラージヒルがあります。
大倉山と白馬。
先日、大倉山を飛んだことで、晴れて両方とも飛ぶことが出来たのですが、そこで感じたことや、トップ選手、コーチたちから聞いた話を合わせて、それぞれの台の特徴などを書いてみたいと思います。
近いうちにラージヒルを飛びたい、ジャンパー仲間向けの記事です。
●大倉山ラージヒルの特徴
<フライト高い>
僕自身は飛んだ経験が極めて少なく、何とも言えないのが正直なところですが、少なくとも白馬と比べて、飛び出し直後に高さがあります。
飛び比べてみると、その差は歴然。
僕は白馬ラージヒルでは大体90mくらいで着地するのですが、そのときと同じくらいの高さを感じても、大倉山では70mに届きませんでした。
台のイメージとしては、同じくフライトが高い白馬のノーマルヒルを拡大した感じがします。白馬ノーマルでゲートを上げまくれば、大倉山を擬似した良い練習になるのではと思います。
<向かい風強い>
あと、風が強いです。
ほとんど常時2~3m程度の向かい風が吹いているので、空中での脚パワーが弱いと一気に空中分解してしまうんではないかと思うほど。また、スキーがしなるほどの風圧があり、ブーツが脱げそうになるくらいだそうです。
<ゲート座りやすい>
スタートゲートの高さはちょうど良いです。(僕にとっては)
座っていて足がレールにつくので、スタート動作がしやすく、アプローチの形にすんなり入れます。重心も自分の位置に乗りやすいので助かります。足が長い外国選手だと多少窮屈かもしれませんが。
では、続いて白馬。
●白馬ラージヒルの特徴
<フライトすごく低い>
白馬ラージは、ものすごく低いフライトをとる特徴があります。同じ白馬のノーマルヒルはフライトが相当に高いのですが、それと対照的です。
飛び出した直後の高度が低く、着陸斜面がすごく近くに見えます。そしてK点付近まで飛ぶときは、その後徐々に着陸斜面から離れ、浮き上がっていく感覚があるとのことです。
もしかしたら、余市のミディアムヒル(K50)にそっくりなのかもしれません。余市も飛び出した瞬間に低くてびっくりします。そして、ずっと空中低くて苦しいんだけど、そのまま我慢してるとフワーッとランディングバーンから離れていく感じで、その後K点あたりでようやく地面が近づいてくる感じがします。
<難易度高い>
序盤の低さが特徴なのですが、白馬ラージヒルの難しさはここにあります。
この台で飛距離を伸ばすためには、後半の浮き上がりにつなげるために、はじめの低いフライトを乗り越えることが必要です。しかし、これには非常に高い技術、パワーが必要とされます。
テイクオフで高さや推進力を得られなかったり、空中でスキーを立ててしまうなどロスがあると、もともと高度が低い序盤でさらに高度を失ってしまい、あっという間に着陸してしまいます。
また、試合などでスタートゲートがトップ選手に合わせて設定される場合は、追い風が吹くと非常に厳しい。やはり始めの低空を乗り越えられずに落ちてしまいます。
おそらく、これほどまでフライトが低いラージヒルは世界でも有数ではないでしょうか。
こんな特徴があるので、白馬ラージヒルは難易度が高いとされています。
<遠くまで飛べれば超楽しいはず>
しかし、飛びこなすと、ここほど楽しいジャンプ台は他にないのではないかと思います。
低く飛び出して、空中後半で身体が浮き上がっていく感覚。。
落ちているのではなく、浮き上がる。
まさに飛んでいる感じが味わえるジャンプ台なのだと思います。
僕も白馬ラージヒルを飛びこなして、K点を越えてみたい。そして、いつかあの伝説の137mを達成してみたいと思っています。
●ラージヒルに初挑戦するなら
僕は、白馬が向いていると思います。
初挑戦の場合は、万が一とはいえ、バランスを崩すリスクが高いわけですが、ジャンプで最もバランスを崩しやすいのがテイクオフ直後です。
しかし、そこでバランスを崩したとしても、白馬ラージは非常に低いところを飛んでいるので、比較的に着陸しやすく、転倒につながりにくいと思います。
高いところから落ちると大変ですが、非常にフライトが低い白馬なら、より安全な環境で初チャレンジが出来ると思います。
大倉山への導線としても、白馬ラージは向いていると思います。
●白馬で練習すれば、大倉山も大丈夫
先日、大倉山の大会に出場してきましたが、初めてスタートゲートまで上がったときのことです。
実はね、「小さいな」って感じたんです。
白馬ラージよりもアプローチが短く感じて、ノーマルヒルみたい、と思った。
スタートゲートが低く抑えられているとは言え、大倉山はHS134。白馬のHS131より大きく、日本最大の台。さらに初飛び。
それなのに、なぜそんなに余裕が持てたかというと、事前に白馬で大倉山を意識した準備をしておいたことが大きかったと思います。
<大倉山対策:白馬でのおすすめ練習方法>
FIT杉本コーチのアドバイスもあり、白馬では以下の2つをやってきました。
①同じくフライトが高いノーマルヒルで、出来る限り高いゲートから出て、フライトの高さに慣れること。
②ラージヒルでスピード慣れすること。
さらに、ラージヒルでも相当高いゲートから飛んできたことが功を奏したかもしれません。
大倉山で助走90km/h & 向かい風3m/hだったとすると、相対速度は93km/h。
白馬は無風でしたが、それでもゲートを上げて94km/hくらいのスピードで出れば、大倉山相当の風圧を感じられると。しかもフライトが低いから安心感がある。
この条件で、土日合わせてラージヒル10本、ノーマルヒル15本程度飛んできました。
<メンタルも鍛えておく>
また、大倉山にはラージヒルしかないので、隣のノーマルヒルで慣らしてから、ということが出来ません。
そこを考慮して、白馬では、朝一ラージ、お昼休憩後1本目でラージ、ビデオ係で間隔が空いたあといきなりラージなど、飛ぶタイミングも意図的につくっていました。メンタルトレーニングにはなったと思います。
<一番大切なテクニックはこれ>
もちろん大倉山に限らず、たとえスモールヒルでも、ジャンプで何より大切なのは空中での脚パワー。
脚全体に力を入れたいときも、意識するのは太ももだけでいい。(船木さん直伝)
こんな形で練習しておくと、僕と同じく、技術的には発展途上の大学生仲間のみんなも、大倉山にチャレンジ出来るのではないかと思います。
いつか、みんなそろってラージヒルの大会出たいな。
宮の森サマージャンプ大会に参加してきました。
この大会は初参加。
ソチオリンピックも終わり、去年よりはメディアも観客数も大人しいです。
さて、結果は撃沈。
あいかわらず得意のタイミング遅れですが、
試技1m遅れ、本番2m遅れで大撃沈でした。
しかし、注力してやっていたポイントが少しずつ形になってきたのが救いです。
--
●最近の取り組みテーマ(空中姿勢)
ここ1ヶ月ほど、明確にテーマを持って練習しています。
最近になり、白馬のノーマルヒル、ラージヒル、そして宮の森ノーマルヒルなど、大きい台を飛び始めてから、自分の致命的弱点を多く感じるようになりました。
そのうちの1つが、空中姿勢。
今の自分のジャンプは、空中でスキーがバラバラ動き、誰が見ても分かるほどに不安定なジャンプをしてしまっています。
これは、空中で脚のパワーが抜けてしまっていることに原因があります。
●脚パワーが抜けたジャンプの例(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=ZbRGGXbfL44
空中のまだ高いところにいるのに、広げた足を閉じてしまっています。
途中からカカトの幅がどんどん狭くなって、V字もやめてしまっています。
これは初心者にありがちな弱点で、初心者ほど脚の力が抜け、かわりに肩に力が入ってしまう傾向にあります。
しかし、向かい風を浮力に変えたり、大きなジャンプ台でも安定して飛んでいくためには、最後まで脚パワーを持続することが何としても必要です。
●1つのことを繰り返す
この弱点に関しては、実は自分でもずっと自覚がありながら、これまでちゃんと向き合ってこなかったテーマなので、もうこの夏は、この1テーマに特化してやっていこうかと思っています。
幸い船木さんや杉本コーチからこの点についてアドバイスをいただき、それを試したところ感覚も非常に良く、何とかモノに出来そうな感覚も出てきました。
人の神経系には学習能力があるので、意図的に反復して、何度も何度も繰り返せば、やがて何も考えなくても、無意識のうちにその動きをしている状態にもっていけます。
逆に言えば、悪いクセがなかなか治らないのもそのせいかもしれませんが、自分にはクセがついてしまうほどの経験数がないので、なんとか柔軟に変えていけるはずと信じてやっていこうと思います。
とにかく、脚にパワーを集中させること。
これに特化してトレーニングしていきます。
●必死に脚パワーで風を受け止める(試技@宮の森)
--
明日は初の大倉山!!
チャレンジ!!