さて、日本には2つのラージヒルがあります。
大倉山と白馬。
先日、大倉山を飛んだことで、晴れて両方とも飛ぶことが出来たのですが、そこで感じたことや、トップ選手、コーチたちから聞いた話を合わせて、それぞれの台の特徴などを書いてみたいと思います。
近いうちにラージヒルを飛びたい、ジャンパー仲間向けの記事です。
●大倉山ラージヒルの特徴
<フライト高い>
僕自身は飛んだ経験が極めて少なく、何とも言えないのが正直なところですが、少なくとも白馬と比べて、飛び出し直後に高さがあります。
飛び比べてみると、その差は歴然。
僕は白馬ラージヒルでは大体90mくらいで着地するのですが、そのときと同じくらいの高さを感じても、大倉山では70mに届きませんでした。
台のイメージとしては、同じくフライトが高い白馬のノーマルヒルを拡大した感じがします。白馬ノーマルでゲートを上げまくれば、大倉山を擬似した良い練習になるのではと思います。
<向かい風強い>
あと、風が強いです。
ほとんど常時2~3m程度の向かい風が吹いているので、空中での脚パワーが弱いと一気に空中分解してしまうんではないかと思うほど。また、スキーがしなるほどの風圧があり、ブーツが脱げそうになるくらいだそうです。
<ゲート座りやすい>
スタートゲートの高さはちょうど良いです。(僕にとっては)
座っていて足がレールにつくので、スタート動作がしやすく、アプローチの形にすんなり入れます。重心も自分の位置に乗りやすいので助かります。足が長い外国選手だと多少窮屈かもしれませんが。
では、続いて白馬。
●白馬ラージヒルの特徴
<フライトすごく低い>
白馬ラージは、ものすごく低いフライトをとる特徴があります。同じ白馬のノーマルヒルはフライトが相当に高いのですが、それと対照的です。
飛び出した直後の高度が低く、着陸斜面がすごく近くに見えます。そしてK点付近まで飛ぶときは、その後徐々に着陸斜面から離れ、浮き上がっていく感覚があるとのことです。
もしかしたら、余市のミディアムヒル(K50)にそっくりなのかもしれません。余市も飛び出した瞬間に低くてびっくりします。そして、ずっと空中低くて苦しいんだけど、そのまま我慢してるとフワーッとランディングバーンから離れていく感じで、その後K点あたりでようやく地面が近づいてくる感じがします。
<難易度高い>
序盤の低さが特徴なのですが、白馬ラージヒルの難しさはここにあります。
この台で飛距離を伸ばすためには、後半の浮き上がりにつなげるために、はじめの低いフライトを乗り越えることが必要です。しかし、これには非常に高い技術、パワーが必要とされます。
テイクオフで高さや推進力を得られなかったり、空中でスキーを立ててしまうなどロスがあると、もともと高度が低い序盤でさらに高度を失ってしまい、あっという間に着陸してしまいます。
また、試合などでスタートゲートがトップ選手に合わせて設定される場合は、追い風が吹くと非常に厳しい。やはり始めの低空を乗り越えられずに落ちてしまいます。
おそらく、これほどまでフライトが低いラージヒルは世界でも有数ではないでしょうか。
こんな特徴があるので、白馬ラージヒルは難易度が高いとされています。
<遠くまで飛べれば超楽しいはず>
しかし、飛びこなすと、ここほど楽しいジャンプ台は他にないのではないかと思います。
低く飛び出して、空中後半で身体が浮き上がっていく感覚。。
落ちているのではなく、浮き上がる。
まさに飛んでいる感じが味わえるジャンプ台なのだと思います。
僕も白馬ラージヒルを飛びこなして、K点を越えてみたい。そして、いつかあの伝説の137mを達成してみたいと思っています。
●ラージヒルに初挑戦するなら
僕は、白馬が向いていると思います。
初挑戦の場合は、万が一とはいえ、バランスを崩すリスクが高いわけですが、ジャンプで最もバランスを崩しやすいのがテイクオフ直後です。
しかし、そこでバランスを崩したとしても、白馬ラージは非常に低いところを飛んでいるので、比較的に着陸しやすく、転倒につながりにくいと思います。
高いところから落ちると大変ですが、非常にフライトが低い白馬なら、より安全な環境で初チャレンジが出来ると思います。
大倉山への導線としても、白馬ラージは向いていると思います。
●白馬で練習すれば、大倉山も大丈夫
先日、大倉山の大会に出場してきましたが、初めてスタートゲートまで上がったときのことです。
実はね、「小さいな」って感じたんです。
白馬ラージよりもアプローチが短く感じて、ノーマルヒルみたい、と思った。
スタートゲートが低く抑えられているとは言え、大倉山はHS134。白馬のHS131より大きく、日本最大の台。さらに初飛び。
それなのに、なぜそんなに余裕が持てたかというと、事前に白馬で大倉山を意識した準備をしておいたことが大きかったと思います。
<大倉山対策:白馬でのおすすめ練習方法>
FIT杉本コーチのアドバイスもあり、白馬では以下の2つをやってきました。
①同じくフライトが高いノーマルヒルで、出来る限り高いゲートから出て、フライトの高さに慣れること。
②ラージヒルでスピード慣れすること。
さらに、ラージヒルでも相当高いゲートから飛んできたことが功を奏したかもしれません。
大倉山で助走90km/h & 向かい風3m/hだったとすると、相対速度は93km/h。
白馬は無風でしたが、それでもゲートを上げて94km/hくらいのスピードで出れば、大倉山相当の風圧を感じられると。しかもフライトが低いから安心感がある。
この条件で、土日合わせてラージヒル10本、ノーマルヒル15本程度飛んできました。
<メンタルも鍛えておく>
また、大倉山にはラージヒルしかないので、隣のノーマルヒルで慣らしてから、ということが出来ません。
そこを考慮して、白馬では、朝一ラージ、お昼休憩後1本目でラージ、ビデオ係で間隔が空いたあといきなりラージなど、飛ぶタイミングも意図的につくっていました。メンタルトレーニングにはなったと思います。
<一番大切なテクニックはこれ>
もちろん大倉山に限らず、たとえスモールヒルでも、ジャンプで何より大切なのは空中での脚パワー。
脚全体に力を入れたいときも、意識するのは太ももだけでいい。(船木さん直伝)
こんな形で練習しておくと、僕と同じく、技術的には発展途上の大学生仲間のみんなも、大倉山にチャレンジ出来るのではないかと思います。
いつか、みんなそろってラージヒルの大会出たいな。
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