2019年11月2日土曜日

2019.10.26-27 清水さんキャンプ104th(夏のラスト)

●10/26,27 104thジャンプミニキャンプ
いつも通り、妙高赤倉のK60でのトレーニングでした。

これで、2019夏のシーズンは終了です。

この夏の合宿日数は、例年の1/3くらい。

もっと飛びたかったな。

[YouTube]Oct. 2019 Yusuke Kitazawa - 妙高K60


●現状
終わってみて、ジャンプの調子は、今ひとつ。

ワーストは脱した感があるけど、ちょっと物足りなかった。

数字でいうと、ゲート22、ほぼ無風で、58m。

この飛距離だったら、ゲート15くらいの感覚なので、まだ7段分、過去の自分にも届かない。

練習のたびに良くなってきてはいるけど、もうシーズンが終わってしまって。

物足りない、まだ食べ足りない、腹三分目なのにおかわりがない。

そんな感じ。

自分のジャンプを見ても、野球のフライみたいな軌道で、ライナーじゃない。でも、もう少しで、という感覚も生まれてきた。

ただ、次飛べるまでは待つしかないので、その間に動く身体を維持したり、動き方のイメージをつくったりの準備をする。

今、飛んだ感覚が残った状態で、ふと落ち着いて振り返ってみると、いくつか取り組みたいことは見つけた。

空中、アプローチ、テイクオフのそれぞれで、ポイントを見つけた。


①空中
前傾の浅さ、身体が起き上がってしまう現象は、結局直せなかった。

ただ、こうすれば直るはず、というのは見えてきた気がする。
慣れに任せるだけじゃなくて、具体的に注力するポイントに気が付いたと思う。

●踏んだあと、脚から力を抜いてしまってた
 -->力を入れ続ける。それには、空中イメージが不可欠(前回も同じこと言ってる)

結局、だめなときは基本動作が出来てないと思った。

何が僕にとっての基本かというと、それはハッキリしていて、
基本動作=空中での脚パワー発揮=FTMM(過去記事)

空中でも脚パワーを入れ続けるためには、
空中のマキシマム=一番前傾が深まって、スキーの裏に浮力を感じている時間、をイメージして、その飛型をつくりにいく。

<空中につながる踏み切り>
これまでの経験上、

×テイクオフで、カンテを踏みつけるイメージだと、だめ
 -->踏んで終わりになって、空中まで続かない

○テイクオフでは、空中(マキシマム)をつくりにいくべき
 -->踏んだ後まで、脚の力が続く

自分のテクニックがノーマルな状態であれば、マキシマムでは、足首でスキーを引き付けて、脚全体を鉄パイプにするみたいに力を入れている。

そうすることで、
・向かい風による浮力も受け止めることが出来るし、
・横風の揺さぶりをものともせず、
・追い風で叩かれるスキーを持ち上げることができる。

この状態だと、自分の中で、自分のジャンプに揺るぎない確信が持てて、スモールヒルでもラージヒルでも、向かい風でも追い風でも何でも来いという状態になれる(強い横風だけはいつも嫌だ)

そんな状態で初めて、安心してスキーに身体を預けられるようになるので、深い前傾が戻ってくる。

以上、結論的には、新しいことは何もなくて、
空中では一番の基本動作=FTMMをもう一度徹底するだけなんだけど。

何でだろう。練習中、飛びながらだと、気付かなかったり、対策を確信出来ないことが多い。

後で落ち着いて振り返って、初めてこれをやるべきだとしっくりくる。

経験はしても、その消化には多少の時間がかかるのかもしれない。


②アプローチ
●腰を落とすと良くて、落とせないとだめ
腰を落とせないと、無駄な動きが増えると気付いた。

ジャンプの1つの理想として、
頭と腰の高さが、アプローチ、テイクオフ、空中までずっと同じ、というものがあると思う。

すなわち、頭と腰が同じ高さ(=背中が水平)なまま、変わらない動きが理想。


●背中のラインが一定(理想的)

なぜ理想かというと、エアブレーキが少ないことと、あともう1つ。

ジャンプの成功率が高くなると思った。

背中を動かさず、動かすのは脚だけ。このシンプルさがポイント。

動きが単純であればあるほど、失敗が少ない。

<動きを単純化することで、ミスを減らす>
小野学さんが良く言われてたけど、
「野球は打率3割で良いけど、ジャンプでは9割以上成功しないといけない」

成功率を上げるためには、何度繰り返しても、正確にその動きをリピート出来る必要がある訳で。

複雑な動きはしない。不要な動きはそもそもしない。

すなわち、無駄な動きを省く。これが大切と思う。

基本的に上半身を動かす必要はないのだから(過去記事)

上半身の動きは省いて、脚だけ伸ばす。単純化。

この動き方は、エアブレーキを減らす観点からも、再現性・成功率の観点からも、合理的と思える。

<腰を落とす>
腰を落とした形は、基本的に立ち上がりやすい。

重量上げやスクワットと同じで、Gのかかった重たい身体を持ち上げるのに適している。

素直な動きになると思う。

あと、動作もシンプルになる。

現実には、テイクオフでは多少背中は起きる(僅かに頭が高くなる)けど、

アプローチで腰を落とし気味だと、最初からその形をしている訳なので、余計な動きを省けていると思う。


●腰を、気持ちだけ、水平より下げる(現実的な形)

この葛西選手が、まさにその動きをしてる。
[YouTube]Noriaki Kasai/葛西 紀明 - 219,5m Planica 2019

[2017のこれ]もいいな。


●では、腰を落とすために
どうするのか。

現段階では定着まで遠いので、作戦をたてたり、こうして書いたりしながら、意識付けが必要な感じ。

(1)身体の柔軟性は必要(筋肉、関節)
・ストレッチで、ハムストリングスあたりを伸ばしておく(夜寝る前に)
・股関節、足首関節も、可動域をひろげておく(イチローと同じジムで出来る)

(2)ヒザが内側に入る形をやめる
・自分の身体の構造的に、内股、ヒザが内側に入る傾向がある
 -->ヒザが内側だと、腰を落とし切れない。上半身が太ももに当たって、一定の高さ以下に落とせない。その高さでロックがかかる。
 -->正しい形だと、すんなり落とせる(ヒザ下を垂直にする)

・良い形を探して、定着させる
 -->鏡の前で確認しながら組む

(3)イメトレ(モノマネ)
・船木さんがまさにこの形のアプローチなので、船木さんをコピーする感じが良いかも。


●自分の悪いクセ(内股気味)
太ももが邪魔して腰が落ちない。


●このくらい開く意識でやらないと、直らない。
#正しい形は、ヒザ下が垂直。


③テイクオフ
●手を下げてみる
・踏み切るとき、手を膝より下まで下げてみろ。ためができるから(by 久之さん)
 -->良いかも。

・手を下げようとすると、背中は水平なまま、腰が折れて、腰を90°直角に折る感じになる。脚は真下に伸ばす感じ。
 -->空中で苦しさがなかった。映像でも、空気を抱え込む形に見えた。


●1年生、2年生ジャンパーたち
話は変わるけど、大学生ジャンプミニキャンプでは、はじめたての選手たちをよく見かける。

<みんなけっこう上手い>
遠くから来て、少ない練習機会で、良くやってるなあと思う。

九州、神戸、大阪、東京、東北の各エリアから通って来る。

始めて間もないうちからミディアムヒルでスタートしていて、ほとんど転ばない。

僕が始めた最初のひと月くらいは、飯山のスモールヒルで10回中10回転んでた。

<最初を乗り越えられれば>
ジャンプは、一番最初が一番つらいと思う。

最初の、30m前後で落ちてるときが一番の耐え時で、ここでやめちゃう選手も多い。

そこを越えれば一気に楽しくなるのだけど。

僕の場合は、35mが壁で、そこでしばらく停滞していた。

どうやっても35mを越えられなくて、何週間も進歩しない。ストレスはたまるし、このまま上手くならないんじゃないかと思ったりもした。

お金も時間もかかるし、それで雨だったり、雨の中転んだりするともう最悪。何でこんなことしてるんだろう、とか思う。

しかし、そこを通り過ぎることが出来たら、あとはすごく楽しい。

<その後が楽しい>
45m越えるとすごい世界に来た気がして、50mとなると来た来た来たという感じ。

P点56mだともはや自分は天才ジャンパーなんじゃないかと思って、K点60mに達すると、とうとうやったという感覚。

初めてK点を越えたときのジャンプは、もう6年も前だけど、まだ覚えてる。

見える景色も滞空時間も段違い。

飛び出し後、視界が戻ったときに高さがあるから、眼下の遥か遠く、ずっと遠く、ジャンプ台の底に赤いライン(K点)が見える。

そこに向かって、風圧を全身に感じながら降下していく。

グライダーみたいに滑空して、5mおきの白線たちをスルスルスルスル通り過ぎて、赤いラインを越えたところで着地。

この感覚は、体験してほしい。

あとおすすめは、久之さんのミニキャンプのときは、n次会まで残ってると良いと思う。

ジャンプの技術論も話せるし、その場でアプローチを組んで、コメントをもらいながら形を直せたりする。テイクオフ、空中も含めて、全般的なアドバイスももらえる。それに昔のいろんな大会や往年の名選手たちの面白いエピソードが聞けたりして、単純に楽しいと思う。


●次
僕自身として、やるべきことは上に書いた通りだけど、特にアプローチを優先するつもり。

次に飛べる機会はいつになるかな。

この冬の国体は、何とか出たいと思っている。

年末年始の北海道には行けないのだけど、大学生の九大戦?のテストジャンプで雪上慣れしつつ、東京都予選に出るシナリオを考えている。

ジャンプ以外のこととのバランスをとりながら、冬も、来期以降も、変わらず飛びたい。


2019年9月27日金曜日

2019.9.21-22 清水さんキャンプ103th(妙高)

9/21、22で清水さんのジャンプミニキャンプに参加してきました。

多忙続きの社会人チームにとって、貴重な練習機会です。


今回は3連休だったこともあり、九州から東北まで、30人近く大学生が集まって、賑やかでした。


社会人チームからは4人参加。


いつも通り、久之さんから、参加者全体に、時に個別にアドバイスをいただけました。


まずは、練習風景のムービー。久之さんの指導場面も入れてます。僕自身もだいぶ復調。


[YouTube]Sep. 2019 Yusuke Kitazawa - 妙高K60



<エアブレーキを避ける>

清水さんキャンプでの基本的な指針として、"ジャンプでは抵抗を受けてはいけない"、というものがあります。

ジャンプで一番やってはいけないのが、エアブレーキを受けること。すなわち、身体やスキーを立てること。


だから、テイクオフでは、身体を起こしてはいけない。


これは、全くもって物理的に正しい。


もちろん下からの抵抗は浮力だけど、正面からの抵抗はブレーキなので、減らしたい。



<足だけ伸ばす>

そのためには、

・テイクオフでは、背中はアプローチの状態そのままに保ちながら、足だけ下に伸ばすこと

・空中では、その背中を寝かせた姿勢のまま動かないこと

これを徹底して練習すべきだといつも教えてくれる。


キャンプでは、この指針が大きな軸として、ずっとブレずにある。


今回は1年生が多かったこともあり、特にここを徹底して、繰り返し教えてくれた。


これが、今回の全体テーマだったようにも思える。



<下に力を伝える>

アプローチの上半身はそのままに、下に向かって力を伝える。

カンテに伝えるんだから、当然、力は下向き。


真下に踏み込む。


僕自身も、ずっとこの動きをしようと試行錯誤してたので、今回のキャンプはちょうど良い流れだった。


とにかく下に踏む

とにかく下に踏む
とにかく下に下に下に
上半身全く使わずに下に踏む

下に踏み込む;

足の裏からかめはめ波撃つみたいな感じ。カンテに足裏のパワーを置いてくる感じ。

2日間、全てのジャンプでこれを繰り返して、だいぶ良い形が定着してきたと思う。



<テイクオフはOK、しかし空中がNG>

テイクオフ、それから空中まで、背中のラインを変えないこと。

このテーマに対して、最後は光が見えかけたけど、、途中かなり苦しんだ。


テイクオフは問題ない。


テイクオフで背中のラインを変えないのは、僕の得意技。これはすぐに出来た。


問題はその後。


空中に入った途端に、身体が起きてしまう。


どれだけテイクオフ時の背中が寝たままでも、その直後に頭の跳ね上げが入り、空中で身体が起きる。これが直らない。


つまり、ただ下に押すだけじゃ、だめなのだ。それでは空中までは続かない。



●テイクオフはOK。あとは空中。


<空中で身体を起こさないために>

空中まで背中のラインを変えないためには、この2つも合わせて必要だと思った。

いずれも、前回からの継続課題。


(1)前もだめ

(2)空中での安心感、前傾イメージが必要


<(1)前もだめ>

身体を上に起こすのはもってのほかだけど、前にいくこと。これもだめだと言うこと。

テイクオフで前にいこうとすると、お腹を前に突き出してしまうので、そのせいで頭が上がってしまう=身体は起きてしまう。


タツノオトシゴみたいになる。



●これ。前にいくとだめなやつ。


<後ろに飛ぶ感じでちょうど良い>

昔、AUTのシュリーレンツァウアー選手が、台車を使うテイクオフシミュレーションで、後ろに飛んでるの見たことある(YouTubeだったはずなんだけど、今は見つけられなかった、、)

最初見たときは、何をためにこれをやっているのか、全く意味が分からなかった。


的はずれな、妙な映像を流して、ライバル国を混乱させようとしてるのかと思った。



●シュリーは後ろに飛んでた。

ただ、今思えば、前に流れがちな踏切を矯正しようとしてたのかもしれない。

確かに、普通にしてると、真下に踏んだつもりでも、前にいきがちと思う。


少なくとも今の僕はそう。


だから、僕にとっては、後ろに幅跳びするくらいの感覚にして、ようやく真下かな、という感じだった。


そのくらいでないと、お腹を前に突き出してしまう。


これ、けっこう注意点だなと思った。



<(2)空中>

これも、前回からの継続。

空中の安心感;

前傾しても前転や分解しない感覚、自分の足でスキーをグリップしてる感覚、スキーの風圧を足で受け止めてる感覚、横風だろうと向かい風だろうと、足でスキーを抑えられる感覚。

これがないから、滑空することを避けるように、無意識に上半身を上に反らせて、身体を起こして、着陸準備をしてしまう。


やっぱり空中感覚を取り戻すことが必要。


今は徐々に飛距離も戻ってきて、フライトの安定感もそれなりにあるのだけど、まだ安心しきれていない。


ただ、かなり良いところまでは来てる。


次以降も、高めゲートで滞空時間を伸ばすのを続ける。あるいは、思い切って大きな台行ってみようかな。白馬とか。



<空中イメージ>

あと、出来るとしたらイメトレ。

頭の中でも、かなり動作をつくれる気がしている。


下に踏み込むことで、結果として腰が持ち上がって、身体にゆるやかな前回りモーメントが生まれる。それによって前傾がかかっていく。


この、前傾がかかった状態を頭の中で描きながらだと、テイクオフ後、スムーズに空中につながる。


前傾することが頭にない状態だと、いざ前傾がかかりそうになったときに、驚いて、反射的に身体を起こしてジャンプをやめてしまう。


踏み切る前に、空中の前傾を思い描いていることが、とても大切と思う。


このイメージづくりは、ジャンプ台にいなくても出来ること。というよりは、ジャンプ台に行く前にしておくべき準備だ。



<トップ選手のコピー>

あとは、他の選手の映像からヒントをもらうことも出来る。

トップ選手の中でも、自分がマネしやすいな、と思う動きの人はいるはず。


今の僕は、長野オリンピック後数年間くらいの葛西選手のイメージでいってみたい。


腰がドンッと前に押し出される訳ではないけれど、お腹を前に出さない感じをマネしたい。


[YouTube]Kasai, Noriaki - 92,5m - FIS WM 2001 Ski-jumping K90 Individual - Lahti


下に踏んだ力を脚に残し、踏んだままの形も保ちながら、スキーのトップの方に頭が近づいていく感じが良い。



<思い切りいくこと>

あとはもう1つ、自分のテーマがあった。

思い切り踏み込むこと。


これは前回の練習後、次のToDoとして挙げてたもので、テイクオフのパワーがあまりにも足りてないと思っていた。


結果として、キャンプを終えた今、踏切へのためらいはほぼなくなっている。


前回まで2、3割くらいの力だったけど、今は8割くらいまで戻せてきてる。


残り2割は、まだ空中に不安が残るので、そのぶん思い切りいけてない感じ。


ただ、飛距離はかなり戻ったし、前傾も深くなりつつある。


昨シーズンから続いた低空飛行を思えば、十分に、十分に復調の兆しが出てきた。


キャンプ初日の1本目は、恐る恐るで、26番ゲート(ほぼトップゲート)から40mくらい。


キャンプ2日目は、そのときの自分にしては力いっぱい踏み込んで、21番ゲートから54m。


ケガ後、今が一番状態が良いのは間違いなくて、もちろんまだまだなんだけど、嬉しかった。


<道のり>

 1. ゲートアップ
 2. ロングフライト、しかし危ない
 3. 飛型つくりなおし <--前回ここ。今はOK
 4. 再度ロングフライト、安定 <--★いまここ。あと2割くらい。
 5. 元通り
 6. もっと遠くへ


<パワーを戻せた理由>

ただ気合でパワーを出したというよりも、実はアプローチ姿勢を変えたことが大きい。

少し、腰を落としてみた。


と言っても、今までの形が、つま先にかかり気味、頭が下がり気味だったので、これで水平になったくらい。


しかし、これがすごく滑りやすいし立ちやすい。


腰を落としたおかげで、

・頭がもぐらなくなった(頭の高さが改善)
・顔の向きも、自然と前を向く(顔の向きが改善)
 -->安定したし、アプローチでの窮屈感がなくなり、テイクオフでもすごくラクに、素直に立ち上がれるようになった。

長年の悪いクセ(頭が潜って、顔が下を向く)が一瞬でなくなったような感じ。


直そうと強烈に意識しなくても、腰を落とすだけで、すごくラクにそれが出来るようになった。


だめなときの滑りって、自分が滑らされてる、スキーに連れて行かれてる感じだけど、


今回は、滑りが安定したせいか、自分は止まっていて、まわりの景色だけが通り過ぎていく感覚になれた。


滑りながらも、落ち着いて、Rやカンテを待つ状況になれた。


腰を落として、でも真ん中で組むために、指先はつかむ

腰を落とすことで、意識が足裏にいく
足裏に力が溜まっていく
カーブからのカンテまで全部見えてるから、長いストロークも出せる気がしてきた
その力をそのままカンテに置いてくる
足に残った力でそのまま、スキーをグリップしてグライダー飛行

立ちやすかった。だから、思い切り踏み込めた。



<そういえば昔も>

2013夏、杉本さんに札幌の荒井山で初めて見てもらったとき、カカトに乗って滑ってこい、っていうテーマがあった。

前に突っ込みすぎだから、直すために。


今回腰を落とそうと取り組んでて、その時と同じだと思った。


ただ、その時の僕は、鋭く低く前方飛び出すことに命を賭けてた時代だったから、素直に受け入れられていなかったかもしれない。


一周まわって、ようやく活かすことができそう。6年越しに。



<どこで変わるか分からない>

腰を落とすことについては、実は9月上旬に塩沢で村田さんと5本ほど飛んできて、そのときに南魚沼少年団のコーチからアドバイスいただけた。これがすごく大きかった。

アプローチで肩とヒザがくっついて動きづらそうだから、腰を落として、肩とヒザの間に隙間あけたほうが良いと思うと。


それをやってみたらヒットしたので、今回のキャンプでも継続していた。


塩沢へは旅行のつもりで行ったし、ビデオも自分たちで撮り合うものと思っていたので、まさか現地でビデオ撮っていただいて、アドバイスまでもらえるとは全く思っていなかった。


本当に塩沢のジャンプ台は、人が温かい気がした。


これは当然予想出来なかったことで、結局、そこでもらった一言が、今の復調気配に直結してる。


Googleの当時のCEOエリック・シュミットが言ってたけど、

"You cannot plan innovation, you cannot plan invention. All you can do is try very hard to be in the right place".

本当に、どこでどう変わるかなんて、読めないし、計画出来ないことも多い。分からないものだなあと思った。



<新しい期待が持てた>

アプローチが良くなれば、元通りになるというより、従来の悪いクセを消した、新しいジャンプを目指すチャンスが生まれると思う。

これはとても大きなことで、未来への期待が持てるのは、日々の励みになると思う。


日常的なトレーニングしようという気持ちを後押ししてくれるし、合宿が楽しみになるし。


結果として、心身ともに健康に近づくのではと思った。



<その他、気づいたこと>

●アプローチでの腕の形
これまでは、肩の力を抜いて、腕はだらんと下げてた。

今回そこから変えて、腕を後ろにピーンと伸ばして張って、そのままテイクオフ終わるまでキープしたら、良かった。


トップ選手のほとんどがこうなので、試す必要ありと思ったのだ。


まず、懸念してたような、力みにつながる感覚はなかった。


さらに、ピーンと伸ばした腕は、

・身体の丸みを取り除いてくれる
・腰の丸みや、首付近の丸みを軽減してくれる
 -->脚のパワーがそのままカンテに伝わりやすくなるし、方向やタイミングのズレも減る。

<参考>"スキージャンプの技術と体力(小野学著)"より

腰付近の丸みは、踏切時、下半身のパワーがうまく上半身に伝わらず、踏切の効率を損ねる。
首付近の丸みは、踏切開始時、最初に首上げ動作から始まり、タイミング、方向性の点で踏切効率を損ねる。
http://kitano-ski.com/data


<レジェンドたち>

今回の妙高には、日曜だけ石野さんがいらして、いつも通りに飛んでいた。

コーチボックスで僕のジャンプも見てくれていて、今の良かったなあと言ってもらって、嬉しかった。


石野さんは数年前に、14番ゲートから50m越えてたのを覚えてる。


今のはジャンプになってたかな、と言いながら、いつもテイクオフに鋭さがあって、スキーを決して立てない。


たぶん今67歳。


ジャンプっていつまで出来るんだろうと思うけど、そこまで出来ることを、実際に目の前で見せてくれている。


あと、我らが国井さんもそう。


56歳でラージヒル初挑戦、58歳でラージ第2戦。


船木さんも、56歳で初ラージは世界でも聞いたことがない、すごい、たぶん他にはいない、と言われてた。


こうやってLiving legends達の姿を見れるのって、すごくラッキーなことだと思う。


僕も今後何十年も、ジャンプ人生を諦めなくて良いんだと、信じさせてくれる。



<まとめと次>

今回は、とても良かった。嬉しかった。

だいぶ良くなってきた。


まだまだなんだけど、嬉しかった。


帰り道のドライブも、帰ってきてあとも、うきうき感があって、自分のジャンプの映像を見たいと思えたのが久しぶりだった。


次は、新しいことはしない。今回の定着をする。

・真下に(意識としては後ろに)踏む
・空中、ロングフライトを繰り返す(つくった空中イメージを試す)
・腰を落とすアプローチの定着をはかる(長年の悪いクセにサヨナラを)

次の合宿が楽しみ!




●久々の塩沢。ここで腰を落とすアプローチのきっかけをつかんだ。


●貸し切り。



●久之さんのレクチャー。やっぱりスキー操作って絶対に強い。
この状態から、1日でミディアムヒルスタートまで持っていく久之さんはやはりすごい。


●にぎやか。





2019年8月23日金曜日

2019夏のジャンプ(2/2)

●3歩進んで2歩戻る
滞空時間を伸ばすために、

・ゲートを上げる
・低く飛び出す
・K点まで飛べた

ここまでは良かった。

このまま慣らしていけばいい。

しかし、なかなか一筋縄ではいかないもので。

飛距離は出てきたものの、空中でバランスが悪くて、滞空時間が伸びるほど、危ないジャンプしか出来なかった。

飛型のイメージがないからか、空中で脚の力が抜けて、肩が力むという完全なる初心者病。

脚でスキーをグリップする、という概念が全く消え去ったようなジャンプ。

カカト幅が狭くて、スキーのテールも重なって、バランスを崩す。

そして転ぶ。

この空中フォームじゃ危ないので、滞空時間は伸ばす前に、まずフォームを固めなおす必要があると思った。

<道のり>
 1. ゲートアップ
 2. ロングフライト、しかし危ない
 --ここまでは良かった--
 3. 飛型つくりなおし ←★いまここ
 4. 再度ロングフライト、安定
 5. 元通り
 6. もっと遠くへ

ただ、もともと空中は得意だったはず。

空中フォームをまとめるための引き出しはいくつかあるので、そこをトライしようとしたものの。。


●分からない
今度はまた何か狂ったのか、トップゲートでも50mもいかなくなってしまった。

映像を確認しても、形はそんなに崩れてない、タイミングは死ぬほど遅れているけども、、

どこを直せば良いのか分からず。

空中フォームをつくりたいが、飛距離が出なさすぎるので、そもそもほとんど空中にいられない。

再度低い飛び出しを徹底するも、飛距離が出ない。

その後、何をしても飛距離が出ない。

さらに、飛距離を求めてテイクオフの動き方に意識を向けると、空中フォームが意識から消えてしまう。

完全にお手上げで、もはや別のスポーツ、野球とかに転向した方が良いんじゃないかとも思うほど。笑


●別のスポーツの良さ
転向はする気はないけど、ジャンプの準備として、その他のスポーツをある程度ちゃんとやってみるのは有効と思った。

自分の身体や動きのクセが分かるから。

<イチローは肩の力が抜けてる>
たとえば野球で、イチローのルーティンやスイングをコピーしようとしてみると、
本当に肩の力みを抜かないと、あの動きにはならないと分かった。

特にスイングがマネ出来ないのだけど、肩の力が抜けてるからこそ、野球用語だけど、しっかりグリップが残って、腕やバットをムチのように使えるのだと思う。


●この形、本当に正確にやろうとすると、力んだら出来ない。

フォームを比べて分かったのは、
自分は動作時に肩を力ませる傾向があるということ。そのぶん体幹から力が抜けるので、動作につられて身体ごと泳いでしまいやすい。

たとえば、イチローがバッターボックスでバットを立てるときは、バットを持つ右手をぐるんと回しながら上の写真の形に持っていくけれど、その最中に頭や腰が全く動かない。腕だけが回っている。

僕が最初にマネしてみたときは、腕と一緒に頭をはじめとした身体自体も回ってしまっていた。身体の芯に力を置いて、腕や肩などの末端部分からは力を抜かないと、イチローみたいな動きにはならない。それが分かった。

あと、イチローと比べるとやっぱり猫背で、首回りが丸い傾向があると分かったりした。

ただ、分かるから、直す対処を打てる。

ちゃんと研究視点で動作を比べてようやく分かることなので、ある程度まではしっかりやる必要がある。


<イチローは頭の位置が動かない>
東京ドームで実物を見ても、YouTubeでスーパープレイ集を見てても思うけど、走ったときに全く頭が動かない。スイング中も動かない。

これは本人も語ってたけど、
「走ったときに全く頭が動かない。あんなに軽く投げているのに、何であんな(勢いのある)球がいくんだろう、というのは他の選手とは違うところだと思うので、見てほしい」

船木さんもいつか教えてくれたけど頭を動かさないことは、どんなスポーツでも共通で大事とのこと。

それは、頭をぐらつかせないと、身体全体が安定するからだと思う。

頭は重い上に、身体の先端にある。

この "重たさ" と "身体中心から離れている" のがポイントで、頭が動くと、テコの原理、あるいは力学のモーメントとして説明されるように、カンタンに身体全体が動いちゃうのだと思う。(身体にかかる力 = 頭の重たさ x 身体中心からの距離)

船木さんのテイクオフも、全く頭が動かない。

一方で、格闘技は全く好きじゃないけど、ボクシングの選手はいつも頭を上下に揺らしてる気がする。

これは相手の攻撃をかわさなきゃいけないので、動かなきゃだめだから、頭の位置を意図的に動かしているのだと思う。(頭を固定=安定する <--> 頭を動かす=身体が動く、の原則通りと思う)

こんなふうに、別のスポーツをすることで、ジャンプに閉じた理解から、どこでも通じる理解へと、理解の幅を広げられる場合もある。

さらに、実際に自分でスポーツをしてるわけなので、理論だけではない、身体的な、体験した実感も残るのも大きなポイントと思う。


●たぶん、パワー
今現在、全く飛距離は戻らないのだけど、何となく、カギはパワーかもしれないと思い始めた。

ためらいなく、思い切りいける感じが必要かもしれない。

<今は2、3割の力でしかテイクオフしてない>
この7月に、妙高で濃い霧が出てきたので、安全のため全員1番ゲートから飛んだことがあった。

妙高ミディアムヒルの1番というのは恐ろしく低速なので、今世界で最も強い小林陵侑選手でも、恐らくK点には届かないと思う。

その1番ゲートで飛んだら思い切りいけたから、やはり滞空時間が長いフライトに不安があるんだと気づいた。

それと同時に、思い切り踏み切れたことで、これまで思い切り踏み切ってなかったことに気づいた。

2、3割くらいの力でしか踏み込んでなかったと思う。

だから、これからは踏み込みパワーを意図的に戻していこうと思う。

テイクオフの形はそんなにおかしくなかった、、背中のラインを残して踏み切れていた、、

それなのに飛距離が出なかったのも、単純にパワー不足なら納得もいく。

きっと空中危ないと感じてたせいで、無意識に飛距離を抑えようとしていた=パワーを出さない様子見のテイクオフに変わってしまってたのだと思う。

<空中を見据えながら、しっかり踏み込む>
テイクオフでしっかり踏み込めれば、空中でも脚にパワーが残るから、いわゆるFTMMの技術で、スキーを脚で抑えることができて、空中も安定する。

このとき、テイクオフで踏むことだけを考えると、踏んだあとはそこで意識が切れてしまい、空中で何をするか分からなくなることが多い。

だから、空中フォームをつくりにいくイメージを持ちながら、その過程としてテイクオフを通過する感じが、自分にはハマりやすい。(5年も前の記事だけど、この感覚は今も変わっていない)

もうブーツのフィットは問題ないので、思い切りいくだけ。

あとはタイミング遅れ。。


●次の課題:思い切りいく
自分の特徴の背中のラインを残したまま、ためらいなく飛び出すだけ。思い切りいく。

課題は無数だけど、やるべきToDoが見えると、光が見えてるということで、やはり楽しみが増える。

今シーズンは社会人チームなかなか忙しくて、次は9月後半の予定なのだけど、それまではストレッチ&ジョギングで、動く身体をキープする。

もう一度K点を越えたい!


●午後になると霧が多い妙高高原。剥がれたバーンをみんなで直す。

●形も大事と思うほうなので、、着込む。笑
いろんな角度から撮ってもらって打撃フォームチェック。イチローと比較する。

●お盆合宿2019。いつものみんなで。
Our Flight Never Ends.組