2019年8月23日金曜日

2019夏のジャンプ(2/2)

●3歩進んで2歩戻る
滞空時間を伸ばすために、

・ゲートを上げる
・低く飛び出す
・K点まで飛べた

ここまでは良かった。

このまま慣らしていけばいい。

しかし、なかなか一筋縄ではいかないもので。

飛距離は出てきたものの、空中でバランスが悪くて、滞空時間が伸びるほど、危ないジャンプしか出来なかった。

飛型のイメージがないからか、空中で脚の力が抜けて、肩が力むという完全なる初心者病。

脚でスキーをグリップする、という概念が全く消え去ったようなジャンプ。

カカト幅が狭くて、スキーのテールも重なって、バランスを崩す。

そして転ぶ。

この空中フォームじゃ危ないので、滞空時間は伸ばす前に、まずフォームを固めなおす必要があると思った。

<道のり>
 1. ゲートアップ
 2. ロングフライト、しかし危ない
 --ここまでは良かった--
 3. 飛型つくりなおし ←★いまここ
 4. 再度ロングフライト、安定
 5. 元通り
 6. もっと遠くへ

ただ、もともと空中は得意だったはず。

空中フォームをまとめるための引き出しはいくつかあるので、そこをトライしようとしたものの。。


●分からない
今度はまた何か狂ったのか、トップゲートでも50mもいかなくなってしまった。

映像を確認しても、形はそんなに崩れてない、タイミングは死ぬほど遅れているけども、、

どこを直せば良いのか分からず。

空中フォームをつくりたいが、飛距離が出なさすぎるので、そもそもほとんど空中にいられない。

再度低い飛び出しを徹底するも、飛距離が出ない。

その後、何をしても飛距離が出ない。

さらに、飛距離を求めてテイクオフの動き方に意識を向けると、空中フォームが意識から消えてしまう。

完全にお手上げで、もはや別のスポーツ、野球とかに転向した方が良いんじゃないかとも思うほど。笑


●別のスポーツの良さ
転向はする気はないけど、ジャンプの準備として、その他のスポーツをある程度ちゃんとやってみるのは有効と思った。

自分の身体や動きのクセが分かるから。

<イチローは肩の力が抜けてる>
たとえば野球で、イチローのルーティンやスイングをコピーしようとしてみると、
本当に肩の力みを抜かないと、あの動きにはならないと分かった。

特にスイングがマネ出来ないのだけど、肩の力が抜けてるからこそ、野球用語だけど、しっかりグリップが残って、腕やバットをムチのように使えるのだと思う。


●この形、本当に正確にやろうとすると、力んだら出来ない。

フォームを比べて分かったのは、
自分は動作時に肩を力ませる傾向があるということ。そのぶん体幹から力が抜けるので、動作につられて身体ごと泳いでしまいやすい。

たとえば、イチローがバッターボックスでバットを立てるときは、バットを持つ右手をぐるんと回しながら上の写真の形に持っていくけれど、その最中に頭や腰が全く動かない。腕だけが回っている。

僕が最初にマネしてみたときは、腕と一緒に頭をはじめとした身体自体も回ってしまっていた。身体の芯に力を置いて、腕や肩などの末端部分からは力を抜かないと、イチローみたいな動きにはならない。それが分かった。

あと、イチローと比べるとやっぱり猫背で、首回りが丸い傾向があると分かったりした。

ただ、分かるから、直す対処を打てる。

ちゃんと研究視点で動作を比べてようやく分かることなので、ある程度まではしっかりやる必要がある。


<イチローは頭の位置が動かない>
東京ドームで実物を見ても、YouTubeでスーパープレイ集を見てても思うけど、走ったときに全く頭が動かない。スイング中も動かない。

これは本人も語ってたけど、
「走ったときに全く頭が動かない。あんなに軽く投げているのに、何であんな(勢いのある)球がいくんだろう、というのは他の選手とは違うところだと思うので、見てほしい」

船木さんもいつか教えてくれたけど頭を動かさないことは、どんなスポーツでも共通で大事とのこと。

それは、頭をぐらつかせないと、身体全体が安定するからだと思う。

頭は重い上に、身体の先端にある。

この "重たさ" と "身体中心から離れている" のがポイントで、頭が動くと、テコの原理、あるいは力学のモーメントとして説明されるように、カンタンに身体全体が動いちゃうのだと思う。(身体にかかる力 = 頭の重たさ x 身体中心からの距離)

船木さんのテイクオフも、全く頭が動かない。

一方で、格闘技は全く好きじゃないけど、ボクシングの選手はいつも頭を上下に揺らしてる気がする。

これは相手の攻撃をかわさなきゃいけないので、動かなきゃだめだから、頭の位置を意図的に動かしているのだと思う。(頭を固定=安定する <--> 頭を動かす=身体が動く、の原則通りと思う)

こんなふうに、別のスポーツをすることで、ジャンプに閉じた理解から、どこでも通じる理解へと、理解の幅を広げられる場合もある。

さらに、実際に自分でスポーツをしてるわけなので、理論だけではない、身体的な、体験した実感も残るのも大きなポイントと思う。


●たぶん、パワー
今現在、全く飛距離は戻らないのだけど、何となく、カギはパワーかもしれないと思い始めた。

ためらいなく、思い切りいける感じが必要かもしれない。

<今は2、3割の力でしかテイクオフしてない>
この7月に、妙高で濃い霧が出てきたので、安全のため全員1番ゲートから飛んだことがあった。

妙高ミディアムヒルの1番というのは恐ろしく低速なので、今世界で最も強い小林陵侑選手でも、恐らくK点には届かないと思う。

その1番ゲートで飛んだら思い切りいけたから、やはり滞空時間が長いフライトに不安があるんだと気づいた。

それと同時に、思い切り踏み切れたことで、これまで思い切り踏み切ってなかったことに気づいた。

2、3割くらいの力でしか踏み込んでなかったと思う。

だから、これからは踏み込みパワーを意図的に戻していこうと思う。

テイクオフの形はそんなにおかしくなかった、、背中のラインを残して踏み切れていた、、

それなのに飛距離が出なかったのも、単純にパワー不足なら納得もいく。

きっと空中危ないと感じてたせいで、無意識に飛距離を抑えようとしていた=パワーを出さない様子見のテイクオフに変わってしまってたのだと思う。

<空中を見据えながら、しっかり踏み込む>
テイクオフでしっかり踏み込めれば、空中でも脚にパワーが残るから、いわゆるFTMMの技術で、スキーを脚で抑えることができて、空中も安定する。

このとき、テイクオフで踏むことだけを考えると、踏んだあとはそこで意識が切れてしまい、空中で何をするか分からなくなることが多い。

だから、空中フォームをつくりにいくイメージを持ちながら、その過程としてテイクオフを通過する感じが、自分にはハマりやすい。(5年も前の記事だけど、この感覚は今も変わっていない)

もうブーツのフィットは問題ないので、思い切りいくだけ。

あとはタイミング遅れ。。


●次の課題:思い切りいく
自分の特徴の背中のラインを残したまま、ためらいなく飛び出すだけ。思い切りいく。

課題は無数だけど、やるべきToDoが見えると、光が見えてるということで、やはり楽しみが増える。

今シーズンは社会人チームなかなか忙しくて、次は9月後半の予定なのだけど、それまではストレッチ&ジョギングで、動く身体をキープする。

もう一度K点を越えたい!


●午後になると霧が多い妙高高原。剥がれたバーンをみんなで直す。

●形も大事と思うほうなので、、着込む。笑
いろんな角度から撮ってもらって打撃フォームチェック。イチローと比較する。

●お盆合宿2019。いつものみんなで。
Our Flight Never Ends.組

2019夏のジャンプ(1/2)

今年も変わらずに、練習は続けてます。

A級大会には久しく出てないけど、
出れるジャンプの状態ではとてもなくて。

未だに光が見えない。笑

それでも、時間が経ったり、家でゆっくり映像を見たりすると、いくつか気づくこともあり。

また次回、チャレンジしようと思ってるところ。


以下は、この夏の練習の振り返り。

●一瞬、復活
7/6,7の週は、とても良かった。元に戻れそうと思った。

土曜が妙高高原ドリームジャンプフェスティバルで、フェスでは墜落してたけど、翌日はとても良かった。

久之さんに見てもらえて、それが救いになった。


●背中のラインを残して、真下に押す
久之さんから、あらためて言われた。

「上体が動いてるから、背中を空中の形のまま変えないで、足だけ伸ばせ」

これは本来、僕の得意技なはずで、これまで全く上半身を使わずに飛んできた自負があった。

低い飛び出しが定着してるから、自分が何も考えずに動けば、背中のラインはそのままと思ってた。

それが、今回変わってしまっていた。

映像見て気づいたけど、テイクオフで完全に上半身が起き上がってた。

まるで、自ら深い前傾を避けるようなテイクオフの動き。

お腹が前に出て、頭が上がる。だから前傾がかからず、空中で棒立ちになる。

まるでタツノオトシゴみたいな形してた。笑


なぜ、こうなってしまうのか。


●空中での不安が、テイクオフを狂わす
落ち着いて考えてみると、空中での不安があるからだと思った。

空中で前傾して安定飛行しているイメージが持てないから、いつもの方向に飛びだせないでいる。

空中、なぜか不安がある、、前傾したら分解しないか不安。笑


<自ら大ジャンプを避けてる感じ>
今は空中に不安があるから、空中では身体を起こしたまま、いつでも着地出来るような姿勢=直立でいるしかなくなっている。

というのも、足でスキーをグリップ出来てる気がしないのだ。

去年は合わないブーツにシーズン通して苦しんだ。

空中で、ブーツの中で足がズレるから、ヒモの力で強引に固定するしかなくて。

いつもギュウギュウのギュウギュウくらいに縛って、1分で履いた足に血が通わなくなるくらいだった。

だから、足首から下の感覚がいつもなかったし、その状態で飛ぶので、安心もできるはずがなかった。

当然、足の感覚がないので、浮力を受けている感触もなく、空中では自分の脚でスキーをグリップしている感触がまるでなかった

今年のブーツはほとんど問題ないが、脚でスキーを捕まえている感覚はまだ取り戻せていない。

長い間ずっと、風圧を感じられなかったので、その感覚が遠い。

これが、テイクオフで上半身を起こす動き=身体を上を逃がして、前傾をかからなくして、着地に備えようとする、の原因と思った。


●空中での安心感
空中での安心感を取り戻すには、滞空時間を伸ばして、空中を存分に体験するしかないと思った。

そのためには、この2つ。

(1)効率的な低い飛び出しを取り戻す
(2)ゲートをMAXまで上げる

この2つは同時に出来る。


●トップゲートから、得意の低い飛び出し
とにかく、余計に動いちゃだめ。

背中そのまま動かずに、下に押すだけ。自分の得意技。

これを再度徹底した。

いかに上半身の存在を消して、肩の力感を消して、足だけで真下に踏み込めるか。

いかに余計な動きをせずに、足を下に伸ばすことだけを残せるか。

久之さんからは、
「最初はヒザなんか戻ってもいいから、まずは真下に足を延ばせ」

それを続けていると、
「いいぞ、もっと大げさにやれ」
「怖いことじゃないから。前にいくのは怖いから。下に踏むだけだから怖いことじゃないから。やれ」
みたいな感じだった。

やっぱりジャンパー心理を誰よりも分かっていると感じる言葉だった。

怖くない動き、というのは、いつでもそこに戻れる安心感をくれる。

好調時は、多少リスキーな、賭けみたいな動きを出来るけど、絶不調で何をしてもだめなとき、次に何をしようか見失うときでも、怖くない動きなら、それだけならやれると思える。

そうしてるうちに、すごく空中で進んでいく感じが戻ってきた。


●久々のロングフライト
真下に押すのは、物足りないけど、確かに前傾は深まって、進んでいく。

2017に取り組んでたテーマだけど、前に飛び込むよりも、下に踏んだほうが、事実として前傾は深まって、進んでいく。

一気にエアブレーキがなくなる感じがした。

これを体験したことで、これまでずっと空気と正面衝突して、空気と喧嘩してたんだと気づいた。

空気の層に潜り込んで、空気に溶け込んで、一体化しながら進んでいく感じ。

ああ、この感じ、と思い出せた気がした。

飛び終えたあとは、上半身が軽くなって、ツボ押されてカーーーッと身体が覚醒するような、そんな軽さを感じた。

久々のロングフライトが刺激になって、長らく使ってなかった身体中のセンサーが呼び起こされた感じ。

上半身は載せるだけ。足で動く。これがテイクオフの基本動作だと再確認した。

あいかわらず前傾は浅く、いつものフォームではないけれど、その前傾も少しだけ深まり、とりあえずK点までは飛べて、このまま続けていけば治りそうと思えた。

しかし。(2/2へ)


●妙高高原ドリームジャンプ。毎年賑やかで好き。


●ドリームジャンプの午後は飛べなかったので、赤倉温泉の足湯。